特殊外来小児形成外科外来(唇裂口蓋裂・小耳症)
概要
概要
生まれつきの顔面の形態異常(口唇裂・口蓋裂、小耳症・その他の耳介変形など)に対する治療は、成長に伴う変化を考慮した計画が必要です。そして、しばしば成長の段階に応じて複数回の手術的治療を要します。
そのため形成外科の診療では、これらの先天性疾患の診療に対しては長期にわたる定期的な経過観察をおこない、年齢に応じた相談が受けられる体制にあることが求められます。
「小児形成外科外来」は、長いお付き合いとなる今後の治療計画の相談を行う外来です。患者さんやご家族の思いだけでなく生活の状況にも配慮した治療計画が行えるよう心がけています。
特色・方針
口唇裂や小耳症の治療では、機能だけでなく形態的な改善が非常に重要です。当科では三次元的な形態改善にこだわった独自の手術法を開発し、治療結果が「自然」で「目立たない」ことを重視した治療をおこなっております。
口蓋裂の治療では、哺乳の問題への対策から始まります。また、手術的治療においては裂を閉じるのはもちろんのこと、きれいな発音(構音)ができるための機能としての改善が重要です。治療経過においては形成外科内に併設している「言語外来」(口蓋裂言語を専門とする言語聴覚士が担当)と密に提携して正常なことばの習得に努めています。
また、口内の手術は上あごの骨の発育に影響を与えますので、矯正歯科との連携の元に治療を行っています。
「小児形成外科外来」は、言語聴覚士、矯正歯科医、その他の医師や歯科医師、看護師を含めたチーム医療をコーディネートする中心の場としております。
他院で以前に受けた口唇口蓋裂治療後の変形や機能障害に対する治療の相談、その他の部位の先天性疾患(眼瞼下垂、臍ヘルニアなど)の診療も行っています。
標準的治療を主軸としながらも、個々の患者さんの症状の特徴や成長に応じた個別の治療計画を立てています。時間をかけたご相談が可能なように通常の外来より長めの予約時間枠を設けております。
口唇口蓋裂手術に関する主な論文、著書
1. Masuoka H. A new technique of unilateral cleft lip repair with scarless Cupid’s bow peaks. Plast Reconstr Surg. 148(3):597-604, 2021.
2. Masuoka H. A quadrangular flap technique for vermilion repair in unilateral cleft lip. Plast Reconstr Surg Glob Open. 5:e1346, 2017.
3. Masuoka H, Takai Y, Kusumoto K. Unilateral Palatal Hypoplasia: A case report with a long-term follow-up. Cleft Palate Craniofac J. 60(1):105-109, 2023.
4. 益岡弘 「口蓋裂二次手術」. 形成外科治療手技全書Ⅳ 先天異常,pp140-145,克誠堂出版,2020.
5. 益岡弘「両側口唇裂初回口唇形成術」. 形成外科基本手術 シンプルスタンダードを匠のこだわりの技で,pp35-45,克誠堂出版,2022.