特殊外来PKD(多発性嚢胞腎)外来
概要
概要
多発性嚢胞腎(Polycystic Kidney Disease:PKD)は、腎および腎外(肝、脳血管など)にたくさんの嚢胞ができる、頻度の高い遺伝性疾患(1,000-4,000人に1人)です。嚢胞増大に伴い進行性に腎機能は低下し、約半数は60歳代で透析に至ります。
最も多い優性(顕性)遺伝型のPKD(Autosomal Dominant Polycystic Kidney Disease, ADPKD) では、親からは子へと50%の確率で疾患は引き継がれます。
担当診療科 腎臓内科外来
第3土曜日午前にPKD・遺伝専門外来を開設しております。
受診を希望される患者さんは遠慮なく、担当医師にご相談ください。
特色・方針
(1) 治療薬トルバプタンによる腎不全進行予防治療
PKD治療はこれまで有効な治療薬がありませんでした。しかし2014年にサムスカ® (トルバプタン)が「PKD進行抑制」の効能で承認され、腎障害進行抑止(嚢胞縮小化)に狙いを絞った、新しい治療が可能となっています。
最近の調査により、① 腎機能が良好(eGFR>60), かつ ② 総腎容積が大きい(>750ml, 正常300ml)を満たす初期段階の患者さんに、治療効果が大きいことがわかっています。
当外来では、トルバプタン治療開始のタイミングや開始後日常生活管理について十分に相談しつつ、安心して治療を受けて頂くことができます。
(2) 遺伝カウンセリングによるこころのサポート
多発性嚢胞腎には遺伝性疾患であり、「自分は無症状であるが、検査を受けるべきか?」、「こどものことが心配」、「結婚・妊娠は大丈夫か?」など、悩みを持たれる方もおられるかと思われます。
当院ではこのようなご心配や疑問に対して、臨床遺伝専門医、認定臨床遺伝カウンセラーが、対応させて頂いております。
また現在、優性(顕性)遺伝型多発性嚢胞腎の遺伝子診断(PKD1, PKD2)は自費検査となっています。
遺伝学的検査リスト
当院から検査を提出して、検査結果の説明とカウンセリングが可能です。
PKD・遺伝外来あるいは腎臓内科一般外来(月~金)の担当医を窓口として
遺伝カウンセリング外来(当院3階臨床遺伝センター)をご予約頂けます。
(3) 全身合併症の評価と治療
多発性嚢胞腎には、60-70% で肝嚢胞があり、また頻度は10% 以下ですが、脳動脈瘤、心臓弁膜症などの合併症が知られています。
また腎臓や肝臓の嚢胞が大きく、腹部膨満、出血、感染などの問題にお困りの方もおられます。
腎センターではこれらのスクリーニング検査が可能で、必要に応じて、専門の診療科をご紹介させて頂くことが可能です。
(4) 難病申請
多発性嚢胞腎は 国の指定難病となっており、当院で申請可能です。
多発性嚢胞腎(指定難病67) – 難病情報センター (nanbyou.or.jp)
申請には、腎機能検査(推定糸球体濾過率eGFR) 、画像診断(超音波、CT、MRIによる腎嚢胞の数・大きさの確認、総腎容積(ml)、年あたりの総腎容積増加率)の情報が必要になります。