2.食道がん 治療の流れ
2-1.進行度別の治療の流れ
食道がんの標準治療は、進行度によって決められています。
進行度別の大まかな流れについて説明します。
※下線部がガイドラインに示す標準治療
全ての進行度において、外科治療や化学療法、放射線療法を組み合わせて行う「集学的治療」が食道がん治療の特徴です。
治療期間としては
進行度2,3では、およそ2カ月間の化学療法ののち、外科手術(入院期間約2週間)を行い、約3カ月間の治療になります。
進行度4Aでは、およそ1カ月強の放射線治療とその後1か月程度の休薬ののち、追加治療を行います。外科治療の場合はおよそ2週間プラスして3カ月程度となり、追加治療が化学療法の場合には、その後数カ月間の治療に及ぶことが少なくありません。
進行度4Bでは、治療効果と体力のバランスをみて、治療を継続していくことになります。全身への転移に伴う全身状態の悪化の状態での過剰な化学療法はむしろ生命予後を短くすることもありますので、主治医や緩和治療医などとよく相談して、治療の継続を考慮します。
以前は進行度4Bでは半年から1年程度の予後と言われてきましたが、近年免疫治療の効果が明らかになり、年の単位で元気に過ごせる方も出てきております。
2-2.化学療法
当院で行っている主な初回治療の化学療法は、DCF療法、FOLFOX療法、FP+ペムブロリズマブorニボルマブ療法、イピリムマブ+ニボルマブ療法の4種類があります。
これらのうちのどの治療を行うかは、病気の進行度や全身状態によって異なります。
DCF療法以外の治療については、有害事象とのバランスも考えながら外来での治療も可能です。
進行度2,3では、標準治療としてDCF療法を、ご高齢の方や内臓機能の低下している方はFOLFOX療法を行っています。これらは手術前の治療として行い、2-4回繰り返し行った後、手術を行います。
進行度4では、FP+ペムブロリズマブorニボルマブ療法、イピリムマブ+ニボルマブ療法を行っています。ペムブロリズマブ、ニボルマブ、イピリムマブの3種類の薬物は患者さん自身の免疫機構に働きかけてがんを殺していく治療になります。
どの薬剤(の組み合わせ)が個々の患者さんにとって最も効果的なのかは現時点では明らかになっておらず、病状や全身状態を考慮して治療にあたります。効果や有害事象の予測に向けた臨床試験も行っておりますので、可能な方はご参加いただけましたら幸いです。
DCF療法
3種類の抗がん剤を点滴で投与します。投与が終わったら、約2週間休薬します。
1コースは21日で、これを2~3回繰り返します。
治療の効果
FOLFOX療法
3種類の抗がん剤を点滴で投与します。投与が終わったら、約2週間休薬します。
1コースは14日で、これを3~4回繰り返します。
治療の効果
FP+Pembro(Nivo)療法
2種類の抗がん剤と免疫治療薬を点滴で投与します。
投与が終わったら、約2(もしくは3)週間休薬(休憩)します。
1コースは21(もしくは28)日で、これを繰り返します。
治療の効果
Ipi+Nivo療法
2種類の免疫治療薬を点滴で投与します。
投与が終わったら、約2(もしくは3)週間休薬(休憩)します。
1コースは21(もしくは28)日で、これを繰り返します。
治療の効果
2-3.化学放射線療法
進行度4A、特に食道がんが大きく周囲の内臓に浸潤をきたしている方に対しては、抗がん剤を併用した放射線療法を行います。一般的には1日1回、平日5日間を4~6週間の合計20~30回放射線を照射します。(放射線照射についての詳細については、放射線治療科より説明させていただきます)
進行がんの場合、放射線の範囲が広い・食事が摂りにくい・体力が落ちているなどの理由で入院での治療を行う方が多いですが、病状によっては外来での治療も可能です。