診療科肝臓外科
外来診察 2F/H1 ※初診や再診の受付完了後にお越しください
概要
患者のみなさんへ

我々の診療の対象は主に肝臓・胆道癌です。
肝臓は「沈黙の臓器」と言われており、発見された時には進行していることも少なくありません。
当科では肝臓・胆道疾患に対して低侵襲な腹腔鏡手術から、超高難度手術とされる拡大肝切除術に伴った血管合併切除および再建術を積極的に取り組んでおり、豊富な経験に基づき、徹底した癌根治手術を追究しております。
我々の診療対象疾患は原発性肝細胞癌、肝門部および肝内胆管癌、大腸癌などからの転移性肝癌、肝浸潤を伴った進行胆のうがん、また癌でない良性疾患としては単発性および多発性肝嚢胞、肝硬変などのよる脾機能亢進症による巨大脾臓などです。
我々は肝臓の状態を見極め、安全な手術を行えるよう常に心がけています。また手術ができないような進行肝臓・胆道癌の場合にはまずは薬物療法を開始し、その後に癌の縮小が得られた場合には根治手術へと進む、集学的治療を行っています。転移性肝癌においても抗癌剤治療に携わる腫瘍内科と連携を取りながら、手術の可能性を追及し、外科手術による根治を目指しています。胆管癌では肝門部領域胆管癌と肝内胆管癌があり、切除可能病変であれば、手術が最も治癒が期待できる治療方法です。胆管癌では がんの場所、広がりに応じた術式が選択されます。
オンライン・セカンドオピニオン外来
特色・強み

1. 手術症例数に裏付けられた患者様からの期待と信頼
低侵襲手術であるロボット支援下および腹腔鏡下肝切除術は高難度であり、実施できる施設は限られますが、当院は施設基準を満たし数多くの安全な精緻な手術を行っております。現在、肝・胆道癌に対する肝切除の約8割をロボット支援下および腹腔鏡手術で行っています。開腹手術に比べ低侵襲で痛みが少ないことから、退院までの期間も約10日程度と短いのが特徴です。

当院では「開腹手術」「腹腔鏡手術」「ロボット手術」また進行癌に対する「化学療法を中心とした薬物療法」のすべてに精通した医師が全力で治療を行います。

2. 初回診察時に進行肝胆道癌のため治療不可であっても薬物療法→根治手術への可能性を徹底して追求します。
1)進行肝細胞癌の場合
肝細胞癌の治療では、がんの進行度や肝臓の機能に応じて、さまざまな治療法が選択されます。その中でも、切除が難しい進行肝細胞癌や治療後に再発した肝細胞癌に対しては、近年では抗がん剤(薬物療法)による全身治療が選ばれることが多くなっています。その背景には、この数年で抗がん剤の進歩が飛躍的に進んだことがあります。これにより、これまで手術が不可能とされていた進行例でも、薬物療法によって腫瘍が小さくなり、外科的切除が可能になるケースが増えてきています。このように、薬物療法で一時的にがんの勢いを抑えたあと、手術によって根治を目指す治療をコンバージョン手術と呼びますが、当院ではこのコンバージョン手術を積極的に取り入れ、根治をあきらめない治療方針を掲げています。
当院での解析では、薬物療法のみを行った場合と比べ、薬物療法後に外科的切除が行えた患者さんでは、その後の生存期間が明らかに長いという結果を得ています。
当院では、外科治療や薬物療法を中心に外科、内科、放射線科など各分野の専門医が連携し、一人ひとりの病状に最も適した治療法を検討し、最良の結果を目指す医療を提供してまいります。

2)進行胆道癌の場合
切除不能といわれた胆道がんでも、新しい希望があります
胆道がんは、診断された時点で「手術が難しい」と言われることが少なくありません。これまでは薬による治療や症状を和らげる治療が中心でしたが、それだけでは生存期間に限界がありました。
しかし、近年では薬の治療でがんを小さくし、その後に外科手術(コンバージョン手術)を行うことで、より長く元気に過ごせる可能性が広がっています。
当院のデータでは、
症状を和らげる治療のみの場合:平均 約4か月
薬の治療のみの場合:平均 約12か月
薬の治療のあとにコンバージョン術ができた場合:平均 約31か月
と、生存期間に大きな違いが見られました。
これは、切除不能と診断されても「治療を続けることで手術ができるようになり、長く生きられるチャンスがある」ということを示しています。
私たちは、患者さん一人ひとりに合った最善の治療を考え、「諦めずに希望を持てる医療」を目指しています。
主な対象疾患
- 原発性肝細胞癌(初発および再発)
- 肝内胆管癌および肝門部胆管癌
- 結腸・直腸がん、胃がん、乳がんからの転移性肝癌
- 胆嚢がん肝浸潤・肝転移
- その他の肝悪性腫瘍(肝肉芽腫など)
- 肝良性巨大腫瘍(肝血管腫、限局性結節性過形成など)
- 多発性肝嚢胞もしくは単純性肝嚢胞
- 脾臓機能亢進症
- その他の脾臓摘出術を必要とする疾患
各種実績
- 診療実績(2024年1月~2024年12月)手術件数
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総手術症例数 245件 低侵襲手術 158件
(腹腔鏡下 144件 ロボット支援下 14件)肝切除術 132件 二区域 11 件 一区域 14 件 亜区域 54 件 部分 53 件 肝のう胞手術(天蓋切除術) 10件 脾臓摘出術 3件 胆嚢摘出術 7件 その他 6件 開腹手術 63件 肝門部領域がん根治手術 15件(血行再建3件) 肝切除術 34件 三区域 1件 二区域 4件(血行再建1件) 一区域 5件 亜区域 6件 部分 15件 胆嚢がん手術 3件 その他手術 24件 CVポート造設 19件 デンバーシャント造設 5件 - 診療実績(2024年1月~2024年12月)
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切除不能肝細胞癌に対する化学療法新規導入 38件 切除不能胆道癌に対する化学療法新規導入 32件