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8K内視鏡を用いた小児低侵襲手術について

小児外科では手術が必要な小児疾患においては可能な限り内視鏡手術を行っています。
これは体力が弱い小児への負担軽減と、将来性のある小児に対する機能温存を原点とした当診療科の基本方針となります。
この内視鏡手術において2019年5月に関西では初となる8K高精細内視鏡外科システムを導入し、小児外科としては国内初となるこのシステムを導入しての内視鏡外科手術を成功させました。以降、現在小児外科で行っている内視鏡外科手術のほとんどが、この最先端8K高精細内視鏡外科システムによるものです。

当院の小児外科手術について

小児外科の手術は、脳と心臓を除く全身のほとんどの臓器を対象とします。
当科の総手術件数の実に半数が内視鏡外科手術であり、そのほとんどが8K内視鏡システムによる手術です。積極的に内視鏡外科手術を導入することにより、小児への外科的侵襲を極めて少なく抑えることができ、さらに高精細な8K画像によるきめ細やかな手術操作が可能なことから、非常に細い血管や神経の温存が可能で、特に将来のある小児においてその「機能温存」に大きく寄与していると考えています。

従来との違いとその効果

8Kスーパーハイビジョンの解像度は2K(フルHD)の16倍で、画素数にして7,680×4,320、約3300万画素に及びます。フルHDが「きれいな画像」だとすれば、8Kスーパーハイビジョンは「実際の臓器が目の前にあるかのような画像」だと言え、超高精細映像は圧倒的な臨場感、そして現実の物と見違うほどのリアリズムをもたらします。
特に小児の手術においては臓器や血管が発達の途中であるため、慎重な手技が求められます。
8Kスーパーハイビジョンは肉眼で識別し得る限界に迫る(視力4.27に相当)その高精細な映像から、従来の2Kや4Kでは確認し得なかった微細な血管や神経まで鮮明に同定することが可能となり、術中の不用意な操作による出血の回避と、出血時における迅速かつ的確な止血処置の効率を飛躍的に向上することができます。
術中における微細な血管や神経の損傷をより確実に回避できることが、術後各臓器の「機能温存」を可能とし、特に小児外科手術の対象となる、これから長い人生が待っているまだ幼い小さな患者さんへの外科医療サービスにおいて、その重要な医療の質の大きな向上に繋がります。

実績(小児外科)

年間手術総数

・年間手術総数:423例
・年間内視鏡手術総数:210例

※8K内視鏡手術以外の手術も含みます

新生児手術

臍帯ヘルニア手術 2件
胃瘻増設術 5件
人工肛門手術 7件
腹腔鏡下横隔膜縫合術 1件
腹腔鏡下先天性食道閉鎖症根治手術 3件
食道バンディング手術 2件
食道閉鎖症根治術 1件
腸回転異常症手術 1件
腹腔鏡下鎖肛根治術 1件

乳幼児・学童手術

中心静脈カテーテル・ポート留置術 14件
鼠経ヘルニア手術(従来法) 6件
臍・白線ヘルニア手術 60件
腹腔鏡下肺切除術(その他のもの) 2件
子宮附属器腫瘍摘出術 5件
精巣捻転手術 2件
腸重積症整復術 6件
停留精巣(睾丸)固定術 19件
尿膜管摘出術 1件
腹腔鏡下メッケル憩室手術 1件
ヒルシュスプルング病手術 3件
腹腔鏡下先天性胆道拡張症手術 1件
腹腔鏡下鼠経ヘルニア手術 131件
腹腔鏡下虫垂切除術 16件
腹腔鏡下腹腔内停留精巣陰嚢内固定術 33件
腹腔鏡下脾摘出術 2件
癒合陰唇形成術 14件
幽門形成術 3件