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診療情報がん遺伝相談

概要

一般的に、何らかの身体症状がなければ病院を受診することはあまりありません。しかし、最近の研究で一部のがんは、遺伝素因に基づいて発症することも分かってきました。こうした中で、家族・親族にがんが見つかったが自分は無症状であるとき、どこに相談すれば良いのか分からない、というお声を聞かれます。

他にも、同じ臓器のがんでも抗がん剤が効く患者さん・効かない患者さんがおられたり、全く違うがん種の治療薬が劇的に効くことがあったりと、患者さん(あるいは発症前の方)が持つ遺伝情報が、がんの発症と治療に大きな影響を及ぼしていることが分かってきました。

そこで関西医科大学附属病院では、患者さんからがんの遺伝に関するご相談を、まずメール(臨床遺伝センター)でお受けし、さらに詳しい情報がご必要であれば、臨床遺伝センター・遺伝カウンセリング外来でご説明させていただきます。

お問い合わせ先

E-mail: open-gc@hirakata.kmu.ac.jp

  • 臨床遺伝センターは当院3階にあります。(上写真参照)

さらに、それぞれの患者さんのご病状に応じて適切ながん遺伝子パネル検査を行い、将来発症するかも知れないがんのタイプや可能性、現在発症しているがんの分子特性などを分析し、最適な治療法を早めに検討したり、どの診療科を受診すべきかをご案内させていただくことも可能です。

こちらの「よくあるご質問」もご確認ください。

相談窓口

対象

  • 遺伝性がんの素因を持つ方(患者さん)
  • 遺伝性がんの素因を共有しているかも知れない血縁者の方(未確定あるいは症状のないご家族)

相談内容

がん遺伝の専門知識と診療経験を有するスタッフ(臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラー)が、がん遺伝子パネル検査結果の解釈やご自身・ご家族のがん発症リスク、今後どのような検査を受け、どの診療科を受診すれば良いか、などのご相談に対応しております。

メールや窓口でお伺いした内容をもとに、さらに詳しく専門的な説明をご希望される場合は、がん遺伝子パネル検査外来※遺伝カウンセリング外来にて説明させていただきます。

  • がん遺伝子パネル検査を行う外来の受診申込み(予約)などは、専門診療科・主治医またはがんセンター担当医へご相談ください。がん遺伝相談・支援窓口(臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラー)は対応しておりません。

相談の流れ

すでにがんを発症されている方のがん遺伝子パネル検査はがんセンター担当医が、実施の必要条件を満たすか評価した後、保険診療で実施させていただきます。

一方、家族性がんが疑われる場合、発症されている方に加えて未発症のご家族(同じがん発症のリスクを共有するが無症状)の、遺伝学的検査が必要となる場合があります。

このような遺伝性リスクの関与しうるケースに対する相談を、臨床遺伝センター(遺伝カウンセリング外来)にて対応させていただきます。

遺伝カウンセリングの予約

時間は担当医にご確認ください。

相談対応例

以下のようなケースで相談に対応いたします

  • 「家族がんリスク評価」乳がん患者さんとご家族
  • 「全身がんリスクスクリーニングサーベイ」前立腺がん患者さん
  • 「治療薬選択のための遺伝学的検査」大腸がん患者さん
  • 「がんリスクが遺伝しうるか?」子宮がん患者さん

いずれも詳細は相談実績例ページでご確認いただけます。

相談実績例

がん遺伝子パネル検査

当院は2018年4月に、厚生労働省から「がんゲノム医療連携病院」の認定をうけ、「がんゲノム医療中核拠点病院」である京都大学医学部附属病院と連携して、「がんゲノム医療」を行なっています。なお小児がんについては、がんゲノム医療拠点病院である大阪市立総合医療センターと連携しています。

現在当院では、3種類の「がん遺伝子パネル検査」を、下記の条件を満たすがん患者さんについては保険適用として、実施しています。

「がん遺伝子パネル検査」の結果は、多職種(担当診療科主治医、がんセンター担当医、病理診断医、臨床遺伝専門医・カウンセンラー、治験コーディネーターなど)からなる専門家が集まった「エキスパートパネル」で検討し、その結果に基づいて個々の患者さんに適した薬剤や有望な臨床試験をご提案します。

がんが発症するメカニズムは患者さんにより異っており、腫瘍化に関わる遺伝情報を調べることで有効な治療薬を選択(分子標的治療)できたり、治療計画を立案できるようになり、プレシジョンメディシン(精密医療)を実践できます。

検査の対象となる基準

保険診療で検査をおこなうには、下記の条件を満たす必要があります。

  1. 原疾患「原発不明がん」または「標準治療終了見込みの固形がん ※1」
  2. 身体活動 日常生活で軽作業ができる
  3. 病理組織標本 3年以内のがん病理組織ないし血液検体を提供できる
  • 1 固形がん:がんのうち、腫瘤を形成して増殖・増大するタイプのがん。白血病やリンパ腫などの血液がんを除く。例として胃・大腸がん、肺がん、乳がん、膵がんなど。

保険適応となるがん遺伝子パネル検査

使用検体 検査対象
遺伝子数
検査対象融合
遺伝子数
コンパニオン診断
OncoGuideTM
NCCオンコパネルシステム
腫瘍組織と血液 124 13
FoundationOne® CDx
がんゲノムプロファイル
腫瘍組織 324 36 8癌腫
15遺伝子
FoundationOne® Liquid CDx
がんゲノムプロファイル ※2
血液 324 36 3癌腫
6遺伝子
  • 2…OncoGuide NCCオンコパネルシステム、FoundationOne® CDxがんゲノムプロファイルの実施が困難、または結果が得られなかった場合に実施