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先天性難聴と若年発症型両側性感音難聴

概要

難聴と遺伝子の関係

難聴の中には、遺伝子が関与している難聴(遺伝性難聴)があります。遺伝性難聴は、生まれつきの先天性難聴だけでなく、40歳未満で発症する若年発症型両側性感音難聴も含まれます。
日本人難聴患者10,047名を対象とに難聴の原因となる63遺伝子を解析した研究では、約40%に原因が判明しています。(Usami&Nishio 2022)

当院では、耳鼻咽喉科・頭頸部外科臨床遺伝センターが協力して遺伝性難聴の診療、遺伝学的検査を行っています。

内耳と主な難聴原因遺伝子

参考 信州大学難聴の遺伝子解析と臨床応用に関する研究の説明書より

検査の種類

難聴の原因を特定することで、難聴のタイプや進行、難聴以外に伴う症状など、今後の治療に有用な情報が得られるようになってきました。
保険適応の難聴の遺伝学的検査は、①先天性難聴と②若年発症型両側性感音難聴があり、解析対象遺伝子が異なります。

1.先天性難聴(3,880点)
既知の難聴の原因(51遺伝子1140バリアント)の有無を解析
(主にGJB2, CDH23, SLC26A4, STRC, KCNQ4, ミトコンドリアm.3243A>G, MYO7A, ミトコンドリアm.155A>G, MYO6, TECTA, WFS1, MYO15A, OTOF, POU4F3, USH2Aなど)

2.若年発症型両側性感音難聴(8,000点)
既知原因遺伝子11遺伝子を網羅的に解析
(ACTG1, CDH23, COCH, EYA4, KCNQ4, MYO6, MYO15A, POU4F3, TECTA, TMPRSS3, WFS1)

遺伝性難聴の原因となり得る未知の遺伝子がまだまだ多いため、保険診療の検査でも診断がつかない場合があります。当院は、保険診療の検査に加えて信州大学と連携して遺伝性難聴の研究検査を実施しています。研究検査は公的な研究費で実施されるため、費用負担はありません。

研究検査では、さらに広い範囲で遺伝子解析を行い、難聴の原因を明らかにすることを目的としています。また、診断率向上のために、血縁者も検査をすることができます。難聴との関連がまだ明らかでない遺伝子バリアントが同定された場合、健聴の血縁者で同じ遺伝子バリアントが同定されれば、難聴との関連が否定される可能性があったり、難聴の血縁者で同定されれば、難聴との関連を疑ったりすることができます。

検査の流れ

専門の医師から十分な説明を聞いた後、同意いただけた方は、7mL採血を行い遺伝子解析を行います。
なお、問診や聴力検査の結果、家系情報など診療情報(カルテ)も確認させていただきます。

耳鼻咽喉科・頭頸部外科での診察・聴力検査

②遺伝子学的検査について説明、検査に同意
※さらに詳細な研究としての検査も可能(研究の同意を頂いた場合)

③採血