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診療情報アレルギーセンターの特色

診療内容

咳・喘息・気道アレルギー

原因のわからない咳や息苦しさが長引いたり、喘息と診断されたのになかなか症状が安定しなかったりなどでお困りの方と、一緒に解決策を考えていきます。きめ細かく診断と治療方針を、納得のいくまでご説明し、実践することを目指しています。また、アレルギーセンターを通じて、小児期から続く喘息のフォローアップを小児アレルギー科から引き継いだり、鼻・副鼻腔炎を合併する喘息を包括的に診療したりすることが可能になります。

さらに「好酸球性副鼻腔炎」や「好酸球性多発血管炎性肉芽腫症」などの難病指定疾患も、各科と連携して対応しています。アレルギー性気道炎症における最先端の治療オプション(吸入薬や抗体製剤など)のみならず、病態についての新しい知見を常に提供させていただけるような環境づくりに励んでいます。

小児・食物アレルギー

平成26 年に、大学病院としては全国で初めて小児アレルギー科を開設したのが、関西医科大学。小児の主なアレルギー疾患には、アトピー性皮膚炎や気管支喘息、食物アレルギーがあります。アトピー性皮膚炎、気管支喘息は市中病院や診療所でも診療できますが、食物アレルギーはアナフィラキシーショックを起こす可能性があり、アレルギー専門医と設備の整った施設以外では診療できません。

そのため、当センターのように食物アレルギー診断と治療が可能な施設はとても少ないのが現状です。特に最近は食物アレルギーの治療方針が、「除去」から「摂取」へと大きく舵が切られたため、食物経口負荷試験が不可欠。当センターでは、微量の食品でショック症状を起こす子供たちにも食べることが出来るようにする、経口免疫療法を実施して大きな成果をあげています。マスコミにも注目されており、何度か取り上げられています。

鼻副鼻腔・口腔咽頭アレルギー

難治性のアレルギー性鼻炎や難病指定疾患「好酸球性副鼻腔炎」を中心に、花粉症と合併する口腔咽頭アレルギー「口腔アレルギー症候群」も含め幅広く診療を行っています。保存的治療(内服薬や点鼻薬)に抵抗するアレルギー性鼻炎に対してはレーザー治療や内視鏡下手術も積極的に導入しています。出血を伴わず入院を必要としないCO2レーザー療法や選択的後鼻神経切断術など特色のある治療で良好な成績をあげています。その他、スギ花粉症やダニアレルゲンによる通年性アレルギー性鼻炎に舌下免疫療法を実施しています。

アレルギー性鼻炎や好酸球性副鼻腔炎は、高率に気管支喘息を合併し、難治化することが知られています。そこで、当科では上・下気道を包括的にケアするために、呼吸器アレルギー専門医と合同で「気道外来」を2014年1月から全国に先駆けて開設しています。

アトピー性皮膚炎・皮膚アレルギー

湿疹や蕁麻疹(じんましん)として、アレルギー症状が皮膚に出ることは少なくありません。その際、まずは皮膚科診療に精通した医師によって、その症状がアレルギーによるものかをしっかりと鑑別する必要があります。アレルギーによる症状であることが分かった場合には、湿疹であればステロイドの外用を、蕁麻疹であれば抗ヒスタミン薬の内服をしっかりと行っていただく必要があります。

これら薬の使い方を指導するとともに適正に治療が行えているかを再診し、患者さんと一緒に確認しています。また、必要があれば皮膚テスト(スクラッチテストやパッチテスト、光線テスト)によって症状を引き起こしている原因をつきとめ、今後の生活の中でそれらを避けるための指導も行います。

目のアレルギー

アレルギー性結膜炎は季節性のものと通年性のものがあります。ただ、その治療はアレルギーの有無に関わらず抗アレルギー点眼薬の使用や、人工の涙でアレルゲンを洗い流すなどで、重症の際はステロイド点眼薬を使用します。アトピーを伴う場合は重症化することが多く完治が困難です。また、若い人に多い春季カタルという病気では上まぶたの裏に巨大乳頭と呼ばれるぶつぶつが生じ、これも治療に時間がかかります。

これら難治性疾患の治療には十分に炎症を抑えることが重要で、免疫抑制剤点眼薬を使用したり、まぶたの裏の巨大乳頭を外科的に切除したりします。通常多くのアレルギー性結膜炎は点眼で治癒するため、まずは近くの眼科を受診していただき、難治の場合には当センターを受診ください。

アレルギー心身症

アレルギー疾患は心理的・社会的なストレス要因によって症状が悪化したり、場合によっては改善したりすることが知られています。具体的には、気管支ぜんそくの発作症状、アトピー性皮膚炎や慢性じんましんの発疹・かゆみ、食物アレルギーのアナフィラキシー症状などが、対人関係のストレスや生活習慣の乱れ、精神的身体的な疲労状態の影響を受けて変動します。このような病態を心身症と呼び、心療内科の適応になります。

アレルギー心身症外来では各科の専門的なアレルギー治療に心療内科的な診断と治療を加え、症状のコントロールを改善することを目指します。

診療連携

アレルギーは体内の免疫異常によって引き起こされますが、膠原病などで免疫異常が重なるケースでは、診断に至らない事があります。その様な症例に対して当アレルギーセンターでは、構成診療科と、連携する診療科とともに、その究明を行います。特に、アナフィラキシーショックなどの急変時には、救急医学科とも連動して治療にあたります。

また、原因物質を特定することが出来ない場合もあります。そのため、当アレルギーセンターはハイレベルな解析機器を取り揃えた臨床検査部と連携し、アレルギー指導医資格を持つ臨床検査専門医が原因物質の究明・特定を担当。多種多様な原因物質の特定を可能とする体制を構築しています。

さらに、看護部や薬剤部とも連携することで、均質で高度な医療サービスの提供を実現しています。

教育

  1. 総合アレルギー科医の育成
    アレルギー科認定施設を取得しています。
  2. 医療従事者の育成
    アレルギーに特化した薬剤師・看護師などの医療従事者の育成を行います。
  3. 学生の受け入れ
    アレルギーに興味のある学部生、看護学生の見学を受け入れる予定です。
  4. カンファレンス
    各診療科と連携を取って診療の向上を目指すために合同のケースカンファレンスや基礎講座との勉強会を開催する予定です。

研究

アレルギーセンターでは、各診療科や基礎医学の講座と連携して、アレルギーの解明と新しい治療方法を開発するために研究に取り組んでいます。特に、各診療科の患者さんから同意して頂いた血液などのサンプルを連携して横断的に解析しています。患者さんと医療従事者との協力は、新しい薬、医療機器、診療手法などの医学の進歩につながると考えます。大学が一丸となって横断的に臨床と基礎をつなげる実践的な臨床基礎研究を進め、その臨床応用を目指しています(研究内容は近日公開予定です)。

また、当センターでは、実際に発売される前の最新のお薬を試して頂く臨床治験も行っています。興味のある患者さんは、各診療科の担当医に問い合わせてください(過去の実績と今後の予定は近日公開予定です)。

情報発信

  1. 市民公開講座
    一般の方にアレルギーを広く知って頂くための市民公開講座を積極的に開催しています。次回の市民公開講座は開催が決定し次第ご案内いたします。
  2. 地域の医療従事者向け勉強会
    診断、治療、研究成果など最新の医療情報を提供するための勉強会を開催しています。最新の勉強会開催情報は、決まり次第お知らせいたします。
  3. 学会・論文発表
    アレルギーに関して学会・論文発表を行っています。当センター所属医師の、学会・論文発表は近日公開予定です。

講演・公開講座・勉強会開催実績

2018.2.17 市民公開講座
  1. 「アトピー性皮膚炎を例に考える、ステロイド外用剤の使い方」
    附属病院皮膚科 神戸直智准教授
  2. 「気管支喘息の診断とマネジメント」
    附属病院呼吸器感染症内科 小林良樹病院准教授
  3. 「子どもの食物アレルギー」
    附属病院小児科 畑埜泰子助教

会場:関西医科大学附属病院13階講堂

2018.4.7 第1回関西アレルギーカンファレンス
  1. 「アレルギー性気道疾患と治療薬について」
    杏林製薬株式会社学術推進部 野島陽子氏
  2. 「領域を跨ぐ重症アレルギー疾患への対応」
    総合医療センター耳鼻咽喉科 朝子幹也准教授
  3. 「アレルギーセンターの役割 ~内科医が遭遇するアレルギー疾患について~」
    横浜市立みなと赤十字病院アレルギーセンター 中村陽一センター長

会場:関西医科大学枚方学舎医学部棟 加多乃講堂

2019.1.19 第2回関西アレルギーカンファレンス
  1. 「エピペン処方医登録講習」
    マイランEPD合同会社
  2. 「関西医科大学での食物アレルギーの診療の実際」
    附属病院小児科 副島和彦助教
    附属病院皮膚科 岸本泉助教
  3. 「食物アレルギーUp to date」
    国立病院機構相模原病院臨床研究センター 海老澤元宏副センター長

会場:関西医科大学枚方学舎医学部棟 加多乃講堂

2019.2.3 市民公開講座「アレルギー専門医の最新治療」
  1. 「最新の花粉症治療と鼻の喘息~アレルギー性鼻炎・好酸球性副鼻腔炎治療最前線~」
    総合医療センター耳鼻咽喉科 朝子幹也准教授
  2. 「よくわかる!ぜんそくのお話」
    総合医療センター呼吸器腫瘍アレルギー内科 石浦嘉久診療教授
  3. 「アレルギーを未然に防ぐ ~スキンケアの重要性~」
    総合医療センター皮膚科 清原隆宏准教授

会場:ツイン21 第8・9会議室

2019.2.9 市民公開講座
「これだけは知っておきたいアレルギーに関する知識」
  1. 「知っておきたい花粉症・鼻アレルギーの最新治療」
    附属病院耳鼻咽喉科 河内理咲助教
  2. 「子どもの食物アレルギー」
    附属病院小児科 副島和彦助教
  3. 「気管支喘息と上手に付き合うために」
    市立岸和田市民病院 呼吸器センター 医長 谷村和哉
  4. 「皮膚科医がおススメする外用剤の使い方」
    附属病院皮膚科 神戸直智准教授

会場:関西医科大学附属病院13階講堂

2019.7.8 研究ブランディング事業キックホフシンポジウム
『難治性免疫・アレルギー疾患の最先端 研究拠点大学としてのブランド形成』
  • 関西医科大学附属病院アレルギーセンター共催

講演内容(一部)
「成人アレルギー領域における臨床研究の現状」
国立病院機構相模原病院臨床研究センター 谷口正実センター長

「附属病院アレルギーセンター概要について」
関西医科大学附属病院 アレルギーセンター 金子一成センター長

会場:関西医科大学枚方学舎医学部棟 加多乃講堂

2019.7.19 「食物アレルギー ~学校での対応について~」
  • 枚方市学校保健会 主催

講師
関西医科大学附属病院 小児科・アレルギーセンター 副島和彦助教

会場:輝きプラザきらら 大研修室

2019.8.17 〔院内向け〕「研修医勉強会」
  • 関西医科大学附属病院アレルギーセンター共催

「アナフィラキシーショックへの対処法」
関西医科大学附属病院 小児科・アレルギーセンター 副島和彦助教
「エピペン注射液処方医師登録講習会」

会場:関西医科大学附属病院 第2会議室

2019.9.26 〔学内向け〕「シックハウス症候群勉強会」

講師
池田耳鼻いんこう科院 池田浩己院長

会場:関西医科大学 第1講義室

2020.1.18 「第3回 関西アレルギーカンファレンス」
  • 関西医科大学附属病院アレルギーセンター共催

「アレルギーセンターの現状とAirway Medicine」
関西医科大学附属病院アレルギーセンター 小林良樹副センター長
「当院におけるアレルギーセンターの取り組み –PFAS症例を中心に-」
関西医科大学香里病院 耳鼻咽喉科 濱田聡子部長
「重症喘息up to date」
近畿大学病院 東田有智病院長

会場:関西医科大学枚方学舎医学部棟 加多乃講堂

2020.2.8 〔大阪府アレルギー疾患医療拠点病院事業〕
「関西医科大学附属病院アレルギーセンター府民公開講座」

「食物アレルギーってどんな病気?」
大阪府済生会中津病院 小児科 平口雪子副部長
「よくわかる!ぜんそくの話」
関西医科大学総合医療センター 石浦嘉久診療教授
「皮膚のアレルギーで困っていませんか」
関西医科大学附属病院 皮膚科 岸本泉助教
「ここまで進んだ アレルギー性鼻炎の最新治療」
関西医科大学香里病院 濱田聡子病院講師
「始めてみませんか?効果が期待できるハウスダスト対策」
株式会社ダスキン 開発研究所 前田親男室長

アレルギーに関する個別質問コーナー
ダスキンによる掃除実演/体験コーナー

会場:枚方市立総合福祉会館 ラポールひらかた 大研修室

【メディア紹介実績】

2017.9.19 テレビ大阪「ニュースリアル」

アレルギーに関する特集で、耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座小林良樹講師が出演。アレルギー検査を受検したキャスターに結果を解説する様子や、国が検討しているアレルギー疾患拠点病院制度に関するコメントが放送されました。

2017.5.31 テレビ大阪「ニュースリアル」

当センターが取り上げられ、アレルギー疾患に対する最新の考え方や、乳幼児期からできるアレルギー疾患の予防アプローチなどについて、皮膚科学講座神戸直智准教授のコメントが放送されました。また、アレルギー対策について耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座小林良樹講師、小児科学講座畑埜泰子助教のコメントが紹介されました。

2019.12.25 朝日新聞 朝刊

耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座小林良樹講師(附属病院アレルギーセンター副センター長)が、読者からの病気に関する質問に回答する連載企画「どうしました」に登場し、大人の食物アレルギーに関する読者からの質問について症状や原因、治療方法、定期的に専門医の診察を受けることの重要性などを回答しました。