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集学的治療・診断部角膜センター

概要

患者のみなさんへ

〜確かな経験と最新の医療で、角膜の健康を守ります〜

当院では、角膜・結膜など眼表面のさまざまな病気に専門的に対応する「角膜センター」を設立しました。
ウイルス・細菌・真菌・アメーバなどによる感染性角膜疾患から、自己免疫や体質が関係する非感染性角膜疾患まで、幅広い角膜の病気を専門的に診断・治療しています。

角膜センター長の佐々木医師は、長年にわたり角膜疾患の診療と研究に携わり、数多くの症例を経験してきました。
その豊富な知識と経験を活かし、患者さんのご希望に耳を傾けながら、安心して受けられる、質の高い医療を提供しています。

特色・強み

感染性角膜疾患の治療

ヘルペスやサイトメガロ角膜炎、真菌性角膜炎、アカントアメーバ角膜炎など、重症感染症に対して豊富な経験をもとに治療を行っています。
原因となる微生物を正確に特定し、最も効果的な薬剤を選択します。
必要に応じて院内で倫理委員会に承認を得て、自家調整点眼薬を作成し、たとえば
・ガンシクロビル点眼(抗ウイルス薬)
・ボリコナゾール点眼(抗真菌薬)
・クロルヘキシジン点眼(抗アメーバ薬)
・5-FU点眼(抗がん剤)
・マイトマイシンC点眼(抗がん剤)
などを、症状や病原体に合わせて調合しています。
これにより、一般的な治療では改善しにくい症例にも対応可能です。

非感染性角膜疾患の治療

リウマチに伴う角膜潰瘍、骨髄移植後のGVHD、薬剤によるSJS(スティーブンス・ジョンソン)症候群など、自己免疫に関連する角膜疾患にも力を入れています。
膠原病内科などの他科と緊密に連携し、全身の状態を考慮した治療を行います。
また、抗がん剤による角膜障害、角膜変性症、円錐角膜など、特殊で治療が難しい疾患にも積極的に取り組んでいます。

外科的治療にも対応

点眼や内服などの保存的治療で改善が難しい場合は、角膜移植(全層移植・表層移植・内皮移植・輪部移植)や羊膜移植を行い、角膜の透明性と視力の回復を目指します。
また、必要に応じて、角膜電気分解や塩酸ソウハも施行しています。
それぞれの症例に最も適した方法を丁寧に選び、治療後のケアまでしっかりサポートいたします。

主な対象疾患

感染性疾患:
・細菌性・真菌性角膜感染症
コンタクトレンズを不適切に使用したり、園芸や農業で突き目をした場合に起こります。近年はアカントアメーバによる角膜炎も非常に増えています。いずれも早期に適切な治療を行わなければ、重篤な視力低下を来します。当科では、迅速な塗抹検査、培養検査、そしてPCRを施行し、適切な点眼や内服(各種抗真菌剤点眼やクロルヘキシジン点眼、いずれも自家調整剤)を行い、治癒を得た経験を数多く有しています。

・ウイルス性角結膜炎
きわめて伝染性の強いアデノウイルによる流行性角結膜炎、免疫能が低下したときに発症するヘルペス性角膜炎、そして緑内障を合併しやすいサイトメガロウイルス角膜炎などがあります。サイトメガロウイルスに関しては、ガンシクロビル点眼(自家調整剤)の処方も可能です。これらの疾患は、その時々に微妙な抗ウイルス剤とステロイド剤の微調整が必要です。当センターは患者さん個々の状態にあわせて、ウイルスを制御することを得意としています。

非感染性疾患:
・ドライアイ
日本の疫学調査によれば、40歳以上の成人の約2割がドライアイと言われています。近年のパソコン作業の増加により、さらに増えています。生活の質を長期にわたって損なう病気です。リウマチやシェーグレン症候群といった全身疾患に関連することもあります。当科では、原因の精査とともに、各種点眼や涙点プラグ(詰め物)や閉鎖により改善を図ります。

・アトピー性皮膚炎に伴う「春季カタル」
まず皮膚科と連携して治療します。意外と目と皮膚は関連していることが多いです。免疫抑制剤点眼も必要に応じて使用し、最終的にステロイド点眼離脱を図るようにしています。お子様のアトピー性角結膜炎は放置すると視力低下を来します。お子様の治療の経験も数多く有します。待ち時間なども考慮いたしますので、なんでもご相談ください。当院にはアレルギーセンターも設置されており、連携して全身的な治療を行えることも強みです。

・角膜上皮幹細胞疲弊症
透明な角膜の上皮細胞(1番表面の細胞)の元になる細胞(幹細胞)が、下記のような原因でダメージを受けると、正常な角膜上皮細胞を作ることができなくなります。
・急性白血病に対する同種骨髄移植後の対宿主病
・市販感冒薬による皮膚粘膜症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)
難治で管理の難しい病気の一つですが、当センターでは、皮膚科・血液腫瘍内科と連携をとりながら、点眼や内服、そして羊膜移植を用いて、可能な限り、眼表面をよい状態に導きます。お一人、お一人の患者さんで状態が大変異なる病気です、個々の患者さんの状態にあった方法で粘り強く全力で治療にあたります。

・そのほか、種々の疾患に最良の治療を提供するために、下記の治療も施行しています。
① 遺伝性に角膜に濁りが生じる「角膜ジストロフィ」⇒ 角膜移植や電気分解
② 自己免疫疾患に関連する「周辺部潰瘍」⇒ ステロイド治療や表層角膜移植
③ 高齢者の眼瞼に発症する「扁平上皮癌、リンパ腫などの腫瘍性疾患」⇒ 5-FU点眼やマイトマイシンC点眼、あるいは放射線療法
④ 顔面神経麻痺、外傷、ヘルペスなどで眼瞼を閉じることができず角膜が乾燥する「兎眼」⇒ 当院で倫理承認されたグローブシート、眼瞼縫合など
⑤ 円錐角膜 ⇒ 特殊コンタクトレンズ処方や角膜移植

なお、屈折矯正手術や角膜内リングなどは施行しておりません。

遠方の患者さんにおかれましては、近隣の開業の先生方と細やかに連携を取り、来院の負担軽減をはかります。
どうぞ安心して、角膜センターにお尋ねください。