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乾癬センターの概念

乾癬で合併しやすい症状

乾癬は元々合併症が出やすいとされている疾患であり、日本人も欧米の患者さんと同様の傾向があります。(図1)そして、合併症の有する乾癬は重症化しやすいと考えられています。乾癬がその他の疾患を増悪させている一面もあり、積み木で例えるならどんどん積み重なっていくようなものです(図2)

更に、このことを裏付けるように、乾癬では死因の第一位が心血管系疾患であり、健常な方々と比べ約6年寿命が短くなる可能性も報告されています。(表1、図3)

乾癬に合併する症状は、1人の患者さんにおいて色々な時期に生じることから、「乾癬マーチ」と呼ばれています。全身の疾患が血管にもおよぶことによって心・脳血管病変の発症につながります。(図4)

欧米ではこの図で示すように、合併症や関節炎の有無にてリスクが異なるため、リウマチ科や内科と連携して診断に努めていくことが必要と考えられています。

具体的な合併症状としては、乾癬は約10-20%の患者さんで関節炎を併発することがあり、放置すれば手指の変形が生じたりしゃがむ動作が難しくなったり、睡眠時の腰痛、足の痛みなどが出現します。 また、関節炎を有する乾癬の患者さんは心血管障害を来す可能性が高いことも知られています。
当センターではリウマチ・膠原病科や循環器内科と情報共有を行い、各症状の予防に努めています。

〈乾癬により心血管に狭窄を認めた一例〉××歳代、男性
10年ほど前より肘に皮疹が出現、外用で治療を行っておられました。2年ほど前より全身に皮疹が拡大してきたため、治療目的で受診となりました。
手のこわばりや腰痛も認めていましたので、リウマチ科と循環器内科と情報共有を行いました。

循環器内科にて心臓を調べてみたところ、本人の自覚症状を伴っていませんでしたが、左前下行枝に狭窄を認めました。心臓についても治療を開始予定です。

このように関西医科大学乾癬センターではリスクが疑われる症例では積極的に心臓の検査(冠動脈・心臓CT、心筋シンチグラム、心臓超音波検査等)も行い心血管障害の予防に努めています。

センター化のメリット

今日、センター化によって、院外からの紹介患者さんに対しても皮膚科・リウマチ科・循環器内科のどの科を最初に受診されても情報を共有し、3科で評価を行い、その後必要な科にコンサルトを行うという体制がとれるようになりました。また栄養士指導なども積極的に行い、乾癬患者さんが合併しやすいメタボリック症候群の予防に努めています。