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心療内科

診療

からだの痛みになぜ心療内科? と思われる方も少なくはないかも知れません。そこには大きく分けて2つの誤解があると思います。 一つには心療内科を精神的疾患の診療を行なっている科だとの誤解。もう一つはからだの痛みは身体だけに対処すれば治るはずだとの誤解です。

一つめの誤解について説明すると、心療内科が対象とするのは身体症状です。特に内科領域の症状や疾患を専門としていますが、痛みというのは必ずしも特定の診療科に限定できない場合も多く、整形外科や外科、口腔外科、婦人科など外科系の領域の症状でも対象となることがあります。反対に、痛みがあってもそれが精神的な疾患や障がいに由来するものと考えられる場合は心療内科で診療することはできません。たとえばうつ病の人は高率に頭痛など身体の痛みを持っていますし、パニック発作や不安で胸痛や手足のしびれなどを生じることがあります。これらは身体症状ではありますが精神疾患にともなうものであるため、根本的には精神科での治療が必要となります。

二つめの誤解について、身体の痛み特に慢性疼痛(慢性痛)とよばれるもののほとんどは、痛みだけが症状ということはなく、痛みに対する恐怖感や不安といった感情、痛みを避けるとか過剰に活動するといった行動、その結果としての筋骨格系や社会生活機能の障がいといった悪循環(図)を構成している多彩な問題すべてを症状としてとらえる必要があります。このような多彩な問題を心理社会的因子といい、そういった因子を網羅して病気を理解する視点を全人的医療とよびます。心療内科ではこの全人的医療の観点から慢性疼痛の診療を行っています。

図:痛みの恐怖-回避モデル

※破局化:痛みを悲観的にとらえ痛みにとらわれる痛みの認知様式

実際に心療内科で診療している患者には、はじめから心理社会的因子の関与が考えられる人もいれば、はじめは他の科で症状に見合う検査の異常がみられないとか、通常行われる投薬や注射などの処置で効果が見られないという理由で受診して、その後に心理社会的因子が関係しているのかもしれないとわかる人もいます。

カウンセリング外来

痛みが続くと落ち込みや不安といった感情が湧いてきたり、破局的思考と呼ばれる否定的な認知が生じたりすることがあります。それらによって社会生活や対人関係をこれまで通り送ることが困難になる場合も少なくありません。カウンセリング外来では、このような痛みの認知・感情的側面とそれらに伴う行動パターンなどを話し合い、痛みの受け止め方や行動の変化、生活の質の向上を目指すためのカウンセリングを1回50分で行っています。