糖尿病性腎症進行予防指導
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糖尿病性腎症進行予防指導の概略
毎年全国で約4万人が末期腎不全となり、維持透析導入となっています。
上図は、透析導入となった患者さんの原疾患の割合の年次推移を示しています。全体の41%が糖尿病性腎症によるものです。糖尿病の自己管理が、腎不全進行を抑える上で、重要となります。
外来指導の流れ
まずご来院後9時前後に中央採血室で血液尿検査を受けて頂きます。その結果が出るまでの約1時間の待ち時間を利用して運動(E1)、栄養・看護指導(G10)を受けて頂き、最後に医師診察(K1)をうけて頂きます。各部署の混雑の程度により、順番が前後する場合があります。
腎不全進行を予防するための適切な目標設定と、その達成に必要な運動療法計画をそれぞれの患者さんのご症状に応じて、ご提案・説明させて頂いております。
指導外来は月1回のみですが、回数制限はなく、必要に応じて繰り返し受けることができます。
糖尿病性腎症進行と予防指導のタイミング
糖尿病診療ガイドライン 2019 9章 糖尿病(性)腎症 145-167頁, 日本糖尿病学会
エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2013 9章 糖尿病性腎症 80-101頁 ,日本腎臓学会
よくある質問
糖尿病性腎症進行予防指導をうけたいのですが、基準はありますか?
糖尿病があり(HbA1c, 国際標準 6.5%以上、あるいは糖尿病薬で治療中)、かつ微量アルブミン尿がある場合に、適応になります。
運動指導をうけたいのですが、基準はありますか?
保険診療では上記の条件を満たす糖尿病患者さんで推定糸球体濾過率(eGFR)が45m/min/1.73㎡ 未満の方が対象になります。ただしeGFR値のみならず、ご年齢、体格、合併症等それぞれの個人の状態に適したご説明を受けて頂くことができますので、主治医とご相談ください。
慢性腎臓病の進行ステージに応じた治療
※これまでeGFR 30 未満となれば、蛋白制限が推奨されてきました。
しかし過度の蛋白制限は、骨粗鬆症、サルコペニア、などの合併症を引き起こすことが問題となっています。
その対策の一つとして2018年からeGFR 45未満の糖尿病性腎症患者さんは、高度腎不全外来指導(運動指導)を保険診療で受けることが可能となりました。
「蛋白制限はどの程度がよいか?」、は個々の患者さんのご状態(年齢、体格、骨・筋の栄養状態)によって異なります。まず主治医とご相談ください。
糖尿病連携手帳
【糖尿病連携手帳 第4版】 2020年4月
→糖尿病連携手帳|公益社団法人日本糖尿病協会
糖尿病協会が発行している連携手帳を用いて、指導外来ごとに、検査値を記入しています。自己管理の記録として、またかかりつけ医、専門医(眼科、歯科など)を受診するとき、薬局処方をもらうときなどに医療機関の間での、情報共有に役立ちます。
→糖尿病連携手帳|公益社団法人日本糖尿病協会
糖尿病性腎症の5つの進行度(ステージ第2~4期)のどこにいるのか、血糖管理目標、服薬状況などを、シールを使って、わかりやすく表示できます。
糖尿病性腎症重症化予防の概念
糖尿病性腎症重症化予防プログラム
図表1 糖尿病性腎症予防と関連する自治体の保険事業 を改変
日本医師会 日本糖尿病対策推進会議 厚生労働省 2019年4月25日改訂
重症化予防は腎診療、糖尿病診療の協力が必要である。
糖尿病性腎症進行予防指導の地域連携
糖尿病性腎症の専門医紹介基準
糖尿病性腎症予防指導外来(運動療法、高度腎不全指導)
健康科学センターでは、独自の運動療法腎障害進行予防プログラムを提供しています。
個別化、最適化: 生活スタイル、心肺機能、合併症に応じた処方を提示させて頂いた後、定期的に腎機能推移を観察し、処方の最適化を心がけています。
保険診療: 糖尿病の場合は、腎機能 eGFR 45 未満の場合、保険診療で月1回の指導を受けることができます。
a)3Mets (Metabolic Equivalent 運動強度の単位、安静時を1として何倍のエネルギーを消費するかを示している)
例:普通歩行, 体操, 炊事, 掃除, ゴルフ練習, 水中歩行、対極拳、草引き
b)4Mets
例:速歩、洗濯物干し、床ふき(かがむ運動)、自転車、ラジオ体操、庭仕事
c)目標心拍数 カルボーネンの式
[最大心拍数(220-年齢)-安静時心拍数]×(強度※÷100)+安静時心拍数
※病態における強度の違い: 0.4 腎不全, 0.6 一般
出展:日本腎臓リハビリテーション学会「保存期CKD患者に対する腎リハの手引き」2018年 35頁
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→運動処方