遺伝カウンセリング
概略
遺伝しうる疾患の正しい認識や知識、情報を伝えることを目的とします。
カウンセリングの内容
1.疾患の自然歴と、治療法
2.未診断家族の診断(画像、遺伝学的検査)
3.結婚や出産など、ライフイベントに関する悩み
臨床遺伝専門医、カウンセラーが、遺伝情報をどのように受け入れたらよいのか、心理・社会的支援をご提案いたします。
参考:医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン 日本医学会2011年
遺伝カウンセリング診療の流れ
ゲノム医療の進歩に伴い、がんや難病領域の疾患について、遺伝学的検査が日常的に行われるようになっています。結果は、診断確定(難病申請)、治療薬選択(個別化医療)、予防計画(サーベイランス)、家族の疾患リスクの予測等、に役立ちます。
しかし検査するにしても、結果をどう解釈するかわかりにくい、仕事や保険加入に影響しないか、家族のリスクはどう対応すべきか、いろいろと不安や悩みを感じられるか、と思います。
そこで腎センターでは、臨床遺伝センター(臨床遺伝専門医、カウンセラー)との連携により、腎尿路系疾患をはじめ、がんから難病まで幅広く遺伝学的検査を提供し、患者さん、そして家族を含めた早期治療や予防のお役にたてればと考えています。
希望あれば、担当医に「遺伝カウンセリングをうけたい」とご相談ください。
対応可能な遺伝性腎・尿路系疾患
ゲノム医療の推進により、臨床の現場のがんや難病診療において、遺伝学的検査が日常的に実用化されつつつあります。
難病領域においては、令和2年度診療報酬改定時に指定難病64項目が新たにD006-4 遺伝学的検査として保険収載されました。現在は、140 検査項目(111疾患)が保険収載されております。これらの実施時には遺伝カウンセリングをうけることが勧められ、保険診療での受療(1,000点。3割医療費負担の場合、3,000円)が可能となっています。さらに令和4年度4月から保険診療で可能な遺伝学的検査に50疾患が新たに追加となりました。
診療目的で行う遺伝学的検査は、2018年の改正医療法等に従い精度管理の施設要件を満たす医療機関の検査部門や衛生検査所でのみ実施できることになりました。現在、遺伝学的検査の多くは衛生検査所(かずさDNA研究所、BML、SRLなど)において受託検査として実施されています。
もし検査をうけるか悩んでおられる場合は、まず担当医に相談され、臨床遺伝センターの遺伝カウンセリング外来を予約し、検査のメリット、デメリット、検査法や費用などについての説明をうけられることをお勧めします。
かずさDNA研究所に、次世代シークエンス解析を依頼できる疾患と遺伝子を表示します(2022年4月現在)。血液検体(2ml)を送付すると検査結果は約2ヶ月で、提出医に返却されます。保険診療(D 006-4 遺伝学的検査)として実施できるもの(上段)と、非保険・自費検査で委託できるもの(下段)があります。
パネル検査で患者さんに検出された変異を、家族内(親子、兄弟など)で確認したい場合などは、希望の変異検索部位を指定してサンガーシークエンスを依頼できます(非保険・自費検査 :単一エクソン受託解析, 検査箇所数により費用が異なる)。
参考資料 かずさDNA・かずさ遺伝子検査室研究所ホームページ
(https://www.kazusa.or.jp/genetest/test_non_insured.html)。
対応可能な遺伝性がん
検査について、ご不明な点がございましたら、主治医へご連絡ください。
参考資料 診療おいて準拠するガイドライン
1.「ゲノム医療におけるコミュニケーションプロセスに関するガイドライン—
その1:がんゲノム検査を中心に(改訂第3版)」
その2:次世代シークエンサーを用いた生殖細胞系列網羅的遺伝学的検査における具体的方針(改訂第2版)」国立研究開発法人日本医療研究開発機構 (amed.go.jp) AMED小杉班 2021年10月20日
2.遺伝:遺伝性乳がん卵巣がん症候群HBOCをご理解いただくためにver2020.1
日本遺伝性乳がん卵巣がん総合診療制度機構(JOHBOC)
3.遺伝性大腸がん診療ガイドライン 2020年版(大腸癌研究会編)
4.リーフラウメニ症候群の診療ガイドライン 2019年版