TAVI(経カテーテル的大動脈弁植え込み術)
関西医科大学附属病院では、大阪府北河内地区では初となるTAVI(経カテーテル的大動脈弁植え込み術)実施施設としての認定を受け、2019年3月から治療を開始しました。
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大動脈弁狭窄症
症状
心臓弁膜症の一つで、動脈硬化などが原因で左心室と大動脈の間にある大動脈弁の開き具合が悪くなる病気です。弁の開きが悪くなることで血流の流れが妨げられ全身に血液を送り出すための心臓の負担が増えてしまいます。病状が進むと動機・息切れ・胸痛などの症状が現れるようになり、重症になると失神や突然死に至る場合もあります。
治療法
治療法として薬剤による保存的治療、外科的大動脈弁置換術、TAVI(経カテーテル的大動脈弁植え込み術)があり、治療法は症状の進行度合いによって変わります。
症状が軽い場合は、症状の緩和や進行を遅らせることを目的に薬剤による保存的治療が選択されますが、狭窄した弁の根本的治療には至りません。
重症の狭窄には第一選択として外科的大動脈弁置換術が行われます。これは術後の長期成績も確立している方法で人工心肺を装着し、心臓を一時的に停止させて行う手術です。近年は安定して外科的大動脈弁置換術が行われるようになりましたが、高齢や併存疾患で手術が困難な患者さんの新たな選択肢としてTAVI(経カテーテル的大動脈弁植え込み術)が登場しました。
TAVI(経カテーテル的大動脈弁植え込み術)
TAVIとは
TAVI(Transcatheter Aortic Valve Implantation)とは、大動脈弁狭窄症の治療を行う際、大きく開胸せずに心臓が動いている状態でカテーテルを使用し、狭窄した大動脈弁の代わりに新たな人工弁を心臓に植え込む治療法です。大動脈弁狭窄症の根治術はこれまで、標準治療である胸を切開しての外科的手術しか選択肢がありませんでしたが、体への負担が少ないTAVIによって高齢や併存疾患のために手術が困難だった患者さんにも、治療が可能となります。
※TAVIは実用化されて10年ほどの新しい治療方法であり、10年生存のデータがないため重症大動脈弁狭窄症の患者さんに対する第一選択は従来通りの外科的手術となります。
アプローチ
TAVIには足の付け根から挿入する【経大腿アプローチ:TF】と心臓の先端から挿入する【経心尖アプローチ:TA】があります。患者さんにとって最適な方法をハートチームのカンファレンスで決定します。
特徴
TAVIの特徴としては、心拍動下(心臓を停止させずに行う) カテーテル手術で行えることから患者さんの体への負担が少なく、3週間程度の入院が必要だった従来の外科的手術に対して、術後翌日から歩行することができるため、早期にリハビリテーションが行え、1 週間程度で退院が可能となることが挙げられます。
また、大動脈弁機能が改善し、治療前にはできなかった活動が可能となることでQOL(Quality Of Life)の改善にもつながります。
ハイブリッド手術室
これまで部屋の移動が必要であった「手術」と「検査・撮影」が1つの部屋で行えるようになり、患者さんの移動負担軽減が見込めることから、ステントグラフト手術やTAVIなど、開胸手術が困難な患者さんにも外科的治療という選択肢を提供します。透視・撮影システムを搭載したアームには8軸の関節が内臓されており、アイソセンター(放射線が最も集中して照射される部位)が自在に可変することで患者さんを動かすことなく全身検査が可能となります。撮影した画像はリアルタイムでモニターに反映され、手術時間の短縮につながります。 当院のハイブリッド手術室は77.4㎡を確保しており、様々な医療支援機器の同時使用が可能です。