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関西医科大学附属病院の特長閉塞性睡眠時無呼吸に対する舌下神経電気刺激装置植込み術を開始しました。

令和7年10月、附属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科において閉塞性睡眠時無呼吸に対する舌下神経電気刺激装置植込み術を開始しました。

治療方法とメリット

治療方法

舌下神経(舌を動かす神経)を電気的に刺激し、気道を広げる治療です。全身麻酔下に、胸部皮下に刺激装置(パルスジェネレータ)と呼吸センサーを、頸部(舌下神経)に刺激リードを植込みます。手術後一定期間(1か月程度)を経て治療が開始されます。患者さんが就寝時にリモコンをオンにすると、吸気時に舌が前方へ引き出され、上気道の狭窄を防ぎます。

舌下神経電気刺激装置植込み術のメリット

・持続気道陽圧(CPAP)のような鼻マスク装着が不要で、マスク不耐の方でも継続しやすい治療です。
・口腔内装置と比べ、吸気に同期した生理的な舌前方化が得られ、重症例でも有効性が期待できます。
・可逆的:デバイスはオフにでき、必要に応じて設定調整・交換が可能です。
・客観的データに基づく最適化:術後終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)で刺激強度を調整します。

治療の流れ

【外来評価】
睡眠検査(PSG)、耳鼻咽喉科的評価、薬物睡眠下内視鏡検査(DISE)で適応を判定します。

【手術】
全身麻酔で約2〜3時間です。胸部・頸部に小切開を加え、刺激装置・センサー・リードを留置します。

【入院期間】
約1週間(術後経過により前後します)。

【術後フォロー】
創部治癒後(約1か月後)に治療開始、1〜3か月で設定最適化、3〜6か月で効果判定(PSG)。以後、定期通院で設定の確認を行います。

当院の治療体制

耳鼻咽喉科・頭頸部外科を中心に、健康科学センター、臨床検査医学センター、麻酔科、臨床工学技士、看護師等と連携し、術前スクリーニングから術後の設定最適化・長期フォローまでチームで対応します。さらに、関連する睡眠専門医療機関とも連携し、精度の高い診断と適切な治療を提供します。

舌下神経電気刺激装置植込み術が対象となる方

1.18歳以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)患者さん                                   
2.高度肥満ではない方(BMI30未満)
3.中等度から重度のOSAで、持続気道陽圧(CPAP)療法が継続困難な方
4.重度の解剖学的異常がなく、薬物睡眠下内視鏡検査(DISE)で適応条件に合致する方
5.重篤な合併症がなく、手術・デバイス管理が可能な方