#04

リハビリテーションセンター

みなさん「リハビリ」と聞くと、病気やけがをしたときに受ける苦しい、
つらい痛い訓練というイメージがあるのではないでしょうか。
リハビリテーションとは、ラテン語のre(再び)habilis(適した)を語源に持ち「再び適した状態になること」
「本来あるべき状態への回復」という意味を持つもので、リハビリテーション対象の患者さんが、住み慣れた場所で、
自分らしく安心していきいきとした生活を送れるようにするための様々な取り組みすべてを含んだ言葉なのです。
当院では、患者さんの身体的・精神的・社会的・職業的・経済的な側面を考慮し、患者さんを中心に、すべてのスタッフが一丸となってリハビリテーションに取り組んでいます。
当院のリハビリテーションセンターは、医師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士で構成されています。
それぞれどのような仕事や役割を持ち、どのような思いをもってみなさんのリハビリテーションを行っているのか、簡単にご説明します。

若手Drにinterview
リハビリテーション医を志した理由を聞きました

医学部を卒業した後に行う初期研修の間に、印象に残っている症例があります。
その方は、入院時は歩行困難でありましたが、入院中の薬物調整と運動療法により、ADL(日常生活を送るために最低限必要な動作)は向上し、ご自分の足で自宅に帰られました。
退院日には、リハビリテーションを行なった廊下を見て、とても明るい顔で「この廊下は希望の道や」と私におっしゃいました。
自分の足で歩くという事は、生活の質を支える大切な能力であり、人に幸福感をもたらし得るという可能性に気付いた瞬間でした。
そして、多くの患者様とこの幸福を共有したいと強く思い、専攻を決めました。
まだまだ、未熟者ですがよろしくお願い申し上げます。

リハビリテーション料
病院助教

武内 孝太郎先生

リハビリテーション医療の特色は、病気に対しての介入だけでなく、ひとりの患者さんに対して多職種で診療にあたり、環境や社会資源をフル活用し入院中から退院後の生活での場面で患者さんをサポートできることが、最大の魅力であり強みだと考えています。
ご家族や社会背景も踏まえ、患者さんに寄り添い生活の質の維持・向上ができることに魅力を感じ、リハビリテーションを専門にすることを決めました。
日本ではリハビリテーションの需要は高まっており、当院でも、入院患者さんへのリハビリテーション医療に加え、訪問リハビリテーションも始まろうとしています。
まだまだ未熟ではございますが、地域に根ざした質の高いリハビリテーション医療に寄与すべく努力してまいります。

リハビリテーション料
専攻医

谷口 真也先生

運動機能回復の専門家

理学療法士

理学療法士は、運動機能や生活機能が損なわれている方々に対して、起き上がる、座る、立つ、歩くなどの生活に必要な基本動作の回復や維持、悪化の予防を目的とし、自立した日常生活が維持できるように支援する専門職です。
脳血管疾患や運動器疾患、呼吸器循環系疾患、膠原病、小児疾患等、様々な病気を持つ患者さんを対象にしています。
患者さんの症状や課題に応じて身体機能を適切に評価し、運動機能を改善するための最適な治療を提供します。
また、自宅へ帰るために必要な住宅改修や、福祉用具を検討するのも理学療法士の仕事のひとつです。
現在、全国の理学療法士数は2万人を超え、その活動の場は医療機関や福祉施設にとどまらず、教育やスポーツの分野、在宅など多岐に渡ります。
当院では、2018年までは入院中の方と一部外来の方を中心に理学療法を提供していましたが、2019年1月より訪問リハビリ、
3月からはさらに、デイケアでも質の高い理学療法を提供してまいります。

日常生活を取り戻す

作業療法士

作業療法では、基本的な身体の動きだけでなく、日常生活でのあらゆる動作や物事に対して、元の生活に戻れるよう援助しています。
例えば『座れるようになったけどお箸が使いにくい、トイレに自分で行って用を足したい』など、生活場面で必要となるあらゆる動きのリハビリテーションを主に行います。
作業療法士の考える日常生活とは『その方にとって毎日の動作すべて』としています。
そのため、身の回りの動作だけでなく、復職が必要な方など、患者さん一人ひとりにあわせて、可能な限り社会復帰や参加が出来るように、ご相談やお手伝いを行っています。
ご自身のお体、力だけでは困難な作業がある場合には、作業療法士が『自助具』と呼ばれる様々な道具を作ったり、または工夫することにより、患者さんが望む作業を獲得できるようにお手伝いをしています。
また、作業療法士はお体の怪我や障がいに対してだけでなく、同時に発症してしまった物忘れや記憶障がいなどに対してのリハビリテーションも行っています。
加えて当院の作業療法では、『手外科外来』として手の怪我に対しても専門的な治療を実施しています。

専門家が義足や装具を作る 装具外来

毎週、水曜日と金曜日の午後は、義足などを作る義足会社2社(川村義肢、東名ブレース)から義肢装士が来院し、
医師の指示のもと、義足・装具・足底板などの作製を行っております。
木曜日は、フランスベッドの担当者が来院し、高性能の人工装具であるNESSL300や、NESSH200などを試すこともできます。
リハビリテーション科を受診していない患者さんも、装具外来を受診するご相談ください。

言葉や嚥下の問題を解決

言語聴覚士

言語聴覚士とは、病気や事故などで、言語・聴覚・発声・発音・認知などの機能を伴う、言葉によるコミュニケーション機能が損なわれた患者さんに、自分らしい生活を構築できるよう支援する専門職です。
また、摂食・嚥下の問題にも専門的に対応しています。
言葉によるコミュニケーションの問題は、脳卒中後の失語症、聴覚障害、声や発音の障害など多岐に渡ります。
言語聴覚士はこのような問題の本質や、問題が起こるメカニズムを明らかにし、検査・評価を実施して、患者さんに合わせ必要に応じたアプローチ方法を検討し、訓練を行っていきます。
当院においては、主に脳血管リハビリテーション・廃用症候群リハビリテーション、がん患者リハビリテーションを行っております。
近年では、言語機能と同じくらい摂食・嚥下機能に対するリハビリテーションが求められています。
リハビリテーションを必要としている患者さんに対しては、早期に介入し、適切な評価・訓練を実施しています。
他職種と情報共有を行いながら、患者さん一人ひとりのニーズに合わせ、チームでの問題解決を目指しています。

大学病院のクオリティでデイケアを

デイケアセンターオープン!

2019年3月、関西医科大学総合医療センターの通所リハビリ施設「関医デイケアセンター・滝井」が、当院南館3階のリハビリテーションセンター内に開設されました。
昨年、関西医大香里病院に開設されたデイケアセンターに続き、全国的にも珍しい大学病院が運営するリハビリ特化型施設として当院でもこの春よりスタートしました。
当センターは要支援者、要介護者の方々を対象に、より自立した日常生活が維持できるよう支援することを目的としています。
単に身体の機能回復に留まらず、心身ともに明るく、自分らしい生活を送ることができるようにサポートします。
また当センターは、短時間のリハビリ特化型施設で、利用時間は1時間(リハビリ時間は40分)です。
利用者の方は、医療機関で使用している設備機器を使用できるだけでなく、新たに導入した最新のトレーニング機器もご利用いただけます。
医療から介護へ、円滑な連携を目指して、当院リハビリテーション科医師や理学療法士、作業療法士が利用者の方の症状・病態・目標に合わせたプログラムを提供をいたします。

快適なリハビリを支える仲間たち

スムーズな受付を心がけます

医療事務2名・医療クラーク1名、看護師1名、マッサージ師1名で、受付業務を行っております。
医療事務・クラークは、窓口対応、電話対応、書類作成補助・郵送などを行っています。
看護師は、診察補助、緊急対応を行っています。
またマッサージ師は、セラピスト補助・物理療法準備・送迎などを担当しています。
快適に治療を受けて頂けるように、日々業務にあたっております。
送迎や清掃を行う看護助手

病棟よりリハビリ室までの送迎を担当しています。
患者さんの状態を確認し、安全に各セラピストが病棟まで送り届けられるよう心がけております。
またリハビリ室や物品をいつも清潔に保てるように消毒・清掃も担当しています。

ご自宅での療養をサポートします

訪問看護ステーション

2019年1月に、関医訪問看護ステーション・滝井、関医ケアプランセンター・滝井が開設されました。
訪問看護に携わる看護師が病院と連携することにより、院内での治療と、退院後の看護をシームレスに繋ぐことが可能となります。
これにより、これまで自宅復帰が困難であった入院中の患者さんでも、退院しご自宅に戻って医療が受けられるようなコーディネートをすることができるようになります。
訪問看護を通じて私たちは積極的に地域に出向き、出会った人とのつながりを大切にしながら、地域の方々のお役に立てるよう努力してまいります。
医療や介護、地域をつなぐケアプラン

昨今、医療と介護連携や、地域包括ケアシステムの構築が必要とされています。
医療と介護は切っても切り離せないものであり、患者さんを地域の関係機関が協力して、支えていく時代になっています。
私たちは、地域住民の皆様が、たとえ介護が必要な状態になったとしても、少しでも健康でいきいきと、安全で快適な生活が続けられるようにサポートします。
「大切な人を受診させたい病院へ」のモットーに、地域の皆様より「大切な人を任せたい」と思っていただけるように、
訪問看護ステーションとともに努力してまいります。

入院中の方へ
嚥下体操・健康体操を放映します!

最近、病気ではないけれど、時々むせる、何もないところでつまずく…なんていうことはありませんか?
入院中は特に体を動かさないし衰えていく感じがすると思われる方もおられるのでは?
そんな方に朗報です!入院患者さんが視聴できる当院専用チャンネルで、リハビリテーション科スタッフが時間をかけて作成した
嚥下体操・健康体操を放映することが決定しました!
無理のない範囲で適度に体を動かして、入院中の運動不足解消に是非お役立てください。

総合医療センターNavi記事一覧へ