私たち関西医科大学総合医療センター放射線科は最新の検査・治療装置を保有し、患者さんの病が体のどこにあるのか、あるいは良性疾患か悪性疾患かを調べます。また、必要に応じて放射線を使った治療やカテーテルによる治療を行います。画像診断や撮像技術の向上にも余念がなく、日々、機材・技術・知見に磨きをかけ、正確で適切な診断・治療の実現に向けて努力を重ねています。
しかし、それはある意味、当たり前のことかも知れません。だからこそ私たちは、高度な医療を提供するという本来の使命に加え、患者さんとの信頼関係を大事にするという思いから「接遇日本一」という目標を掲げ、患者さんに寄り添った丁寧で柔らかい接遇の実現を目指しています。「この病院で検査・治療をしてもらって良かった。また次もこの病院・放射線科に診てもらいたい。」と患者さんに感じていただけるようなチーム作りを目指します。
しかし、それはある意味、当たり前のことかも知れません。だからこそ私たちは、高度な医療を提供するという本来の使命に加え、患者さんとの信頼関係を大事にするという思いから「接遇日本一」という目標を掲げ、患者さんに寄り添った丁寧で柔らかい接遇の実現を目指しています。「この病院で検査・治療をしてもらって良かった。また次もこの病院・放射線科に診てもらいたい。」と患者さんに感じていただけるようなチーム作りを目指します。
部長挨拶
関西医科大学総合医療センター(旧滝井病院)は90年を越える歴史のなかで、地域医療の中心的な役割を果たしてきました。しかるに放射線科においても資源(機器・人材等)は豊富であり、それぞれの分野で各学会の専門医であるエキスパートが訓練された技師・看護師・医療クラーク等と診療に当たっています。放射線診療には腫瘍等の放射線治療、画像診断とその手技を利用した治療(IVR)および核医学診断と治療の3つの領域があります。放射線科はこれらの全ての領域で中心的な役割を果たします。患者さんの中には放射線の副作用を心配される方もおられますが、私共は適切な放射線の使用を心がけ、患者さんに出来る限りメリットがあり、デメリットの少ない方法を工夫しております。
放射線科部長(教授)
宇都宮 啓太先生
IVR-CTを新たに導入しました
2020年、当センター南館地下1階に新型のIVR-CT(血管造影装置とCT装置を組み合わせたシステム)を導入しました。これは最新鋭の2管球IVRシステムで、2つの角度から同時に撮影することができるスグレモノ。脳神経外科や心臓外科をはじめ、様々な分野のカテーテル手術で威力を発揮します。これを使えば、体内奥深くにある臓器や血管の治療も血管からカテーテルを挿入して手術できるので、患者さんへの負担が圧倒的に少なくなります。
しかも、このIVR-CTはその名の通りCT機能を備えていて、必要ならその場でCTスキャンを行うこともできます。そのため、患者さんがわざわざCT室へ移動する必要もなくなり、時間と労力の節約を実現しました。
そして、連続で撮影が可能なフラットパネルを装備している他、フルデジタル撮影による被ばく線量の低減など、様々な意味で患者さんの負担を軽くしてくれる機器なのです。
当センターには救命救急センターにもIVR-CTシステムが導入されており、2セットを同時並行的に運用することができるようになったため、さらなる効率化・負担軽減が可能となりました。
しかも、このIVR-CTはその名の通りCT機能を備えていて、必要ならその場でCTスキャンを行うこともできます。そのため、患者さんがわざわざCT室へ移動する必要もなくなり、時間と労力の節約を実現しました。
そして、連続で撮影が可能なフラットパネルを装備している他、フルデジタル撮影による被ばく線量の低減など、様々な意味で患者さんの負担を軽くしてくれる機器なのです。
当センターには救命救急センターにもIVR-CTシステムが導入されており、2セットを同時並行的に運用することができるようになったため、さらなる効率化・負担軽減が可能となりました。
放射線検査・治療の流れ
放射線を使った検査アレコレ
放射線検査というと、皆さんは何を想像されるでしょうか。レントゲン?CT?MRI?
一言で「放射線検査」といっても、実はいろんな検査があるのです
一言で「放射線検査」といっても、実はいろんな検査があるのです
一般撮影検査
いわゆる「X線写真」と呼ばれるもので、X線を使って骨だけでなく胸やお腹など全身を調べることができます。X線が透き通りにくい骨などは白く写り、逆に透過しやすい空気などは黒く写ります。肺や心臓、小腸・大腸など臓器の様子、骨折や関節の変形などを調べることが可能です。
マンモグラフィ検査
乳房を圧迫板で薄く伸ばして行うX線検査。カルシウム塩が沈着する石灰化現象の観察に優れており、早期乳がんの発見が得意です。当院は守口市乳がん検診指定病院で、女性放射線技師による検査を行っています。痛いという方もおられますが診断に必要な画像の描出と放射線被曝を少なくするためです。ご理解ください。
骨密度検査
この検査は、骨を構成しているカルシウムなどの量=骨量を測定し、骨の強度を調べます。その診断には、DXA装置による腰椎と大腿骨の付け根の骨量測定が学会でも推奨されていますが、当院はもちろん対応可能。骨折からの寝たきり予防にも役立ちます
血管造影検査
太ももの付け根や腕・手首の太い動脈からカテーテル=細い管を入れ、病巣まで進めていきます。そして造影剤を注入してⅩ線で撮影すると、血管の形や分岐、詰まり、血液の流れが黒く見え、透視画像を見ながら治療を行うことができるのです。当院は2020年9月にシーメンス社製バイプレーンIVRーCTシステムを導入しました。
CT検査
身体の前後左右、様々な方向からX線を当てることで、全身の断層画像を撮影することができます。X線写真では分からない詳細な情報を得ることができ、近年では技術・コンピュータの進歩によって、考えられないほど素早く、より広い範囲の様々な断面の輪切り画像を撮影することが可能になりました。2021年の9月に最新式のキヤノン社製320列マルチスライスCT装置が導入されました。
MRI検査
Magnetic Resonance Imagingの頭文字を取って、MRI。大きな磁石の磁気とFMラジオに似た電波を利用して撮影する検査で、X線を使わないため放射線被曝の心配がなく、子どもにも安心して行うことが可能です。組織コントラスト分解能が高く、生体組織の性状(細胞密度、脂肪や出血の有無)、線維化などを知ることができます。造影剤を使わずに動脈・静脈の描出も可能で、動脈瘤のスクリーニングに大変有効です。
PET/CT検査
陽電子放出断層撮影という核医学検査の一種。放射性薬剤を投与し、検出器でガンマ線を捉えることで画像化します。形態を見るCT検査とは違ってブドウ糖の代謝など機能の異常を観察します。がんの病巣を調べたり、大きさや場所を特定したり、良/悪性の区別、転移や治療効果の判定、再発診断などに使います。
SPETCT/CT検査
SPETCT/CT検査
特定の臓器や組織に集まりやすい性質の放射性薬剤を投与し、放出される放射線をガンマカメラで画像化することで体内を調べるのが核医学検査。その一種、SPECT(単一光子放射断層撮影)は脳血管障害や心臓病、がんの早期発見に有効で、当院でも実施しています。なお、PET検査は専用の検出器が身体の周囲360度に取り付けられていますが、SPECT検査では1対2つの検出器を用います。また、使用する放射性薬剤が種々あるのもSPETCT/CT検査の特徴です。
特定の臓器や組織に集まりやすい性質の放射性薬剤を投与し、放出される放射線をガンマカメラで画像化することで体内を調べるのが核医学検査。その一種、SPECT(単一光子放射断層撮影)は脳血管障害や心臓病、がんの早期発見に有効で、当院でも実施しています。なお、PET検査は専用の検出器が身体の周囲360度に取り付けられていますが、SPECT検査では1対2つの検出器を用います。また、使用する放射性薬剤が種々あるのもSPETCT/CT検査の特徴です。
CTによる新型コロナウイルス感染症検査
近年猛威を振るう新型コロナウイルス感染症。コロナ肺炎と呼ばれる呼吸器症状が出るため、感染の初期評価や病勢の評価にCT検査が使われています。ここでは、実際の画像を用いて新型コロナウイルス感染症の、特徴的な肺炎像をご紹介します
Case Study
6日前: 発熱、咳、鼻水が発症
4日前: 近くのクリニックを受診し、抗生物質を服用しても改善せず
検査当日:CT検査を行ったところ、新型コロナウイルス感染症に多く見られる結果が出ました。
合わせて行ったPCR検査でも、陽性となりました。
合わせて行ったPCR検査でも、陽性となりました。
Doctor’s EYE
左右両方の肺の、下半分だけでなく上半分にも新型コロナウイルス感染症患者さんに多く見られる、いわゆる「すりガラス状の影」が見られました。この影は、肺の中の血管が薄く透けて見える程度の淡い濃度上昇で、肺に炎症が起こってリンパ液などが漏れ出ているのですが、まだ空気が残っていることを示しています。重度の肺炎ではすりガラスを通り越して真っ白な影となり、新型コロナウイルス感染症との区別の参考情報として扱われています。
図1では右側の下部に2箇所、左側の中央下部にも1箇所、それぞれすりガラス状の影が見られます。また、図2で分かる通り、肺の下半分でも形は少し違いますが両方の肺に影が映っています。但し、この画像だけで新型コロナウイルス感染症と断定することはできません。新型コロナウイルス以外のウイルスによる肺炎、マイコプラズマ肺炎、好酸球性肺炎、器質化肺炎、薬剤性肺炎、非感染性間質性肺炎などの可能性は否定できないからです。そのため、CT検査結果を踏まえつつ、PCR検査を行うことになります。