病名 | 破傷風(はしょうふう) |
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部位 | 外傷に伴う創部からの感染 |
主な症状 | 発熱、全身倦怠感、筋の硬直、嚥下障害、開口障害、後弓反張(下記参照) |
初期症状は全身倦怠感、不穏、不眠、微熱、肩や首の違和感、嚥下障害、開口障害を訴えます。病状の進行に伴い発熱、発語障害、嚥下障害、項部硬直などの症状を呈します。極期には全身を弓なりにそらす様な筋肉硬直が軽い刺激によって誘発されますが、意識は清明です。重症例では循環動態が不安定となり、全身痙攣・呼吸停止に至ります。
破傷風とは創部からの感染症です。原因菌は俗に破傷風菌(Clostridium tetani)と呼ばれる広く土壌に分布している酸素を嫌う細菌です。汚染した血流の乏しい傷の中で繁殖した細菌が産生する神経毒(テタノスパスミン)によって神経症状が発現します。
汚染された創部を徹底的に洗浄・消毒し、挫滅創や異物が混入している場合は、異物の除去及び細菌の除去を徹底します。汚染や挫滅が著しい場合は予防注射(破傷風トキソイドや破傷風ヒト免疫グロブリン)を行います。発症すると死亡率が50%程度と推定されます。
予防的には免疫能を上げるために破傷風トキソイドを投与します。さらに汚染が高度なら、神経に未吸着の毒素を中和する目的で破傷風ヒト免疫グロブリンを投与します。適切な抗菌薬の投与が必要で、発症すれば痙攣に対して抗痙攣薬の投与も必要となります。集中治療室で厳密な循環管理や人工呼吸器管理を行います。致死的な徐脈にはペースメーカーの使用が必要となることがあります。