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脊椎転移によるがん性疼痛

症状の解説

脊椎のどの部位にどのような転移があるかによって症状が異なります。典型的な症状は、夜間にしばしば目が覚めるほどの脊椎部の強い痛みで、多くの場合、次第に痛みが増強します。 頚椎転移では頚部、肩甲部、上肢の痛みが生じ、胸椎転移では背部痛や肋間神経痛と同様の痛みが生じ、腰椎転移では腰下肢痛が生じます。また、上肢や下肢の運動麻痺や動作困難を伴うことがあります。

主な原因

腫瘍の脊椎への浸潤や破壊などによって、神経根や脊髄が圧迫、障害されます。脊椎転移では、多くの場合に骨の融解と骨の反応性増殖の両方が混在します。骨転移の中で脊椎への転移が最も多く、その原発は、①肺がん、②乳がん、③前立腺がんほか、腎臓がん、胃がん、子宮がん、肝臓がんなどです。しかし、原発が不明の場合もあります。

必要な検査

まず脊椎の単純レントゲン検査が必要です。すぐに出来上がるので、その日の内に検査所見をみることができます。MRIでは、骨だけでなく腫瘍やその周囲の臓器、神経などの変化が分かります。CTでは脊椎の骨病変が良く分かりますが、内臓の腫瘍病変も知ることができます。

治療法

脊椎転移によるがん性疼痛に対して、平成11年から「ステロイドのくも膜下投与法」を行っています。脊椎麻酔(脊髄くも膜下麻酔)と同様の方法で、ステロイド(リンデロン2-4 mg)を腰部のくも膜下腔に投与します。 この10年間で約100名の患者さんに対して500回以上実施し、良好な鎮痛効果が得られています。副作用や合併症はみられていませんが、まだ新しい方法なので、常に効果と安全性について検討を重ねながら実施しています。 

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