病名 | 流産(りゅうざん) |
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部位 | 下腹部(子宮) |
主な症状 | 腹痛、性器出血 |
胎児が母体外では生きられない時期、つまり妊娠初期から中期まで(妊娠21週まで)の間の子宮収縮での腹痛と胎児排出の兆候である出血が見られる状態、しかし治療で軽快できる可能性がある状態を切迫流産といいます。更に進行して治療困難となれば進行流産となり、出血と共に胎児組織や胎盤などが排出されます。また胎児が先に母体内で死亡し、症状はないが今後必ず流産する状態を稽留(けいりゅう)流産と呼びます。また、子宮頸部が無症状のまま開いて流産するものを頸管無力症と呼びます。
流産は全妊娠の15〜20%にも見られますが、その過半数は胎児の異常(先天奇形、染色体異常など)によるもので、治療できない自然淘汰ともいえるものです。母体の異常としては、全身性の消耗性疾患、感染症、内分泌疾患(糖尿病や甲状腺疾患など)、免疫疾患などの原因があります。また子宮の異常(奇形や感染、頸管無力症など)や一過性の過労、過重労働なども流産原因となります。
超音波検査:子宮の状態や胎児発育状態をチェックします。
血液検査:胎盤ホルモンレベルの検査(妊娠継続が可能かどうかをみます)
切迫流産では、何より安静が重要です。原因となるもの(過労や感染)があればそれを取り除いて、急性期は臥床しながら子宮の収縮が収まるのを待ちます。収縮を抑える薬物にも一定の効果はありますが、あくまで補助する程度のものです。進行流産や、稽留流産であれば、胎児や胎盤が排出されるのを補助し、あるいは手術(子宮内胎児組織の除去手術)を行います。頸管無力症では妊娠初期に頸管を縛る手術(頸管縫縮術)を行って、子宮の入り口を補強します。