病名 | 子宮外妊娠(異所性妊娠)(しきゅうがいにんしん(いしょせいにんしん)) |
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部位 | 下腹部(腹腔内、卵管、卵巣、子宮) |
主な症状 | 腹痛、貧血、ショック状態 |
妊娠した胚(胎児)が、正常の子宮の内腔ではなく、卵管内、卵巣、腹膜、子宮頸管内などに定着(着床と呼びます)して発育し、周囲の組織を破って突然出血することで症状が現れます。大量に持続性出血が起きますので、輸血が必要となることも多く、手術が遅れれば出血性ショックで死亡する危険もある病気です。
なぜ異所性の着床が起きるかは分かっていませんが、性感染症や子宮内膜症などで癒着などから卵管機能が悪くなることも一因であると考えられています。大多数は卵管での妊娠ですが腹膜妊娠や子宮間質部妊娠、頸管妊娠なども希にあります。子宮外妊娠は全妊娠の1%程度にみられ、一度子宮外妊娠のあった女性では、次回妊娠でも5〜7%でおきる危険性があります。また体外受精治療での妊娠でも発症頻度が高くなります。
内診、妊娠検査(血液、尿)で妊娠を確認します。
超音波検査:子宮内に胎児が見えないことは確認できますが、異所性の妊娠部位は診断できないことも多々あります。
血液検査:貧血の程度をみて輸血の必要性を検討します。
腹腔穿刺(ダグラス窩穿刺):出血の確認として希に行います。
外科治療(手術での摘出)が基本となります。破裂して大出血が起きる前に診断できれば、より安全に手術ができ、輸血なども必要ありません。卵管妊娠では、通常は卵管と一緒に摘出しますが、破裂する前であれば卵管を切開して胎児のみ摘出する(卵管を温存する)ことも可能です。破裂前に診断できた場合、手術以外の方法として抗がん剤(MTX)を全身あるいは局所に注射して胎児組織の萎縮をめざす方法もあります。