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下咽頭がん

症状の解説

初期の頃にはあまりはっきりとした症状がなく、咽頭の軽い違和感(特に嚥下時)程度の症状です。ある程度進行すると、咽頭痛や嚥下困難、声がれや頸部腫脹が出現してきます。首のリンパ節への転移がおこりやすく(初診時で60%程度)、頸部腫脹が唯一の症状であることもあります。これらの症状は徐々に増悪するので、一旦出現した症状が治療なしに消失することはほとんどありません。

主な原因

はっきりした原因は不明ですが、ヘビースモーカーで大酒飲みの人ほど下咽頭がんにかかりやすいといわれています。男性は女性の4〜5倍の頻度で発生し、年齢は50〜60歳代に多く、全体の60%以上はこの年代に発症します。ただ、下咽頭がんの発症に関してひとつ例外的なことは、下咽頭の輪状後部という部位にできるがんは、喫煙や飲酒に関係なく貧血をもつ女性に多く発症するということです。

必要な検査

鼻から挿入した内視鏡(ファイバー)で詳しく観察します。診断には組織検査が必要で、多くの場合は内視鏡下で細胞を採取します。(頸部の腫脹に対しては、注射針で細胞を採取することもあります)また腫瘍の広がりを調べるために、CTやMRIなどの画像検査をおこないます。食道がんとの合併が多く、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)は必須です。転移の有無を調べるために、最近ではPET検査が有用です。

治療法

臓器温存(特に喉頭)の観点から、最近は抗がん剤と放射線を組み合わせた治療が多くなっています。この治療が奏功しない場合は手術が必要になります。標準術式としては、咽頭、喉頭、頸部食道をいっしょに取ってしまいますので、声を失うことになります。最近では手術をしてもできるだけ喉頭を温存する工夫(全ての人が残せるわけではなく、適応は慎重に決定されます)が試みられています。

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