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感染性心内膜炎

症状の解説

本来、心臓内は無菌な状態ですが、様々な理由から心臓内の弁膜や内膜に傷がつき、そこに細菌が繁殖し、弁が破壊されてしまう病気です。菌塊が飛んで手足の血管に詰まったり、脳動脈が詰まって脳卒中の症状で発見される場合も多いです。弁の破壊により急激に弁逆流が起こるため、急性の心不全で呼吸困難におちいることもあります。全身に菌がまわるため(菌血症)、38-40℃の高熱が続きます。体が菌に負けてしまうと(敗血症)、血圧が保てなくなり死亡します。

主な原因

もともと弁膜症や先天性の心血管異常をお持ちだったり、免疫力の低下や他の部位に感染を持たれている患者さんは、要注意です。もともとの心病変部位に菌が付着、繁殖し、感染性心内膜炎を発症しやすいのです。特に、歯周病、抜歯等の歯科治療や各内視鏡検査では、処置の際に血液中に細菌が入り込む可能性があり、要因の1つです。他の原因で菌血症や敗血症となっている場合には、菌が全身を回っている関係上、心内膜に菌が付着、繁殖することがあります。弁置換術後に人工弁に感染を生じる場合もまれにあります。

必要な検査

循環器系の各検査および脳神経系の検査が必要です。
血液培養:原因菌の判別、効果のある抗生物質の判定
歯科検査:う歯、歯周病(感染の元かどうか)
心エコー:どの弁が悪いのか、また、弁破壊の程度や弁逆流の程度、心機能を評価します。
脳CT:菌塊塞栓による脳梗塞や脳膿瘍(脳内への感染)の有無を判定

治療法

保存的に抗生物質での治療が可能な場合もありますが、基本的に手術治療が必要です。まず、内科的に抗生物質治療を行い、できれば感染の炎症が落ち着いてからの手術治療がベストです。ただし、弁破壊による心不全が悪化したり、菌塊による塞栓症を繰り返す場合には命の危険がせまっていますので、感染が落ち着かなくとも手術を行います。弁破壊が軽ければ弁形成術(弁の修復)が可能な場合もありますが、多くは弁置換術を行います。術後も抗生剤治療(4週間)にて感染症の根治を図る必要があり、長期の入院となります。

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