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非代償性肝硬変症による末期肝不全

症状の解説

代償期とは特徴的な自覚症状はとくにありませんが、一般的には全身倦怠感、易疲労感などの漠然とした症状で始まり、食欲不振、腹部膨満感、微熱、腹痛などを訴えることもあります。このような自覚症状しかでない時期を代償期とよびます。非代償期では以下に示します症状が出現します。 黄疸、門脈圧亢進(食道静脈瘤、腹壁静脈怒張、脾機能亢進)、浮腫・腹水、消化管出血、肝性昏睡、感染症、播種性血管内凝固症候群、腎不全など。

主な原因

非代償性肝硬変症による末期肝不全を生じる主な疾患としては、進行性肝内胆汁うっ滞症(原発性胆汁性肝硬変と原発性硬化性胆管炎を含む)、劇症肝炎、ウイルス性もしくは非ウイルス性慢性肝炎、肝硬変合併肝細胞がんなどが考えられます。

必要な検査

一般採血検査、腹部超音波、CT検査などで肝硬変の病態を把握します。また食道胃静脈瘤の病態確認のため定期的に上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)を行わなければなりません。生体肝移植を予定している場合には、ドナー(臓器提供者)の血液および画像検査が必要です。ドナーになれる条件(倫理条件・医学的条件)は以下に示す通りです。
1. 自発的意志を有する成人であること。
2. レシピエントの2親等以内の近親者あるいは配偶者であること。
3. レシピエントと血液型が一致ないし適合することが望ましいです。
4. 全身麻酔に際し禁忌となるような合併症を有しないこと。
5. 感染症(B型肝炎、C型肝炎、梅毒、HIV感染症など)、悪性腫瘍がないこと。

治療法

1989年に日本で初めての生体部分肝移植が行われて以来、2008年末までに約5,000人以上の方が肝臓移植の治療を受けられました。肝移植は、重症肝臓病の治療法として既に確立されております。生体肝移植術の多くは保険適用されます。但し、肝硬変合併肝細胞がんでは過去に肝がんに対して治療を行った場合には保険適応とはなりません。 高額医療費制度や、都道府県により疾患に応じた公費負担医療制度があります。

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