病名 | 胆道拡張症【子ども】(たんどうかくちょうしょう) |
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部位 | 胆道 |
主な症状 | 腹痛、黄疸 |
胆道拡張症は多くは幼児期に腹痛で発症します。腹痛は年に1回から2回程度で、あまり気にされていない軽い程度のものを繰り返していることが特徴です。この病気は女児に多いので、よくおなか痛を起こす女児は腹部エコーを受けられることをお勧めします。一方、生まれて1歳頃までは、黄疸やおなかの腫れで発見されることが多いようです。最近では生まれる前に胎児エコーで胆管の拡張で発見されることもあります。
膵・胆管合流異常が原因で胆管の拡張が起きます。膵・胆管合流異常は生まれつきのもので、胆管と膵管が十二指腸乳頭部で合流せず、十二指腸から離れた膵内胆管で合流しています。この状態では膵液が胆汁に混ざりますので、発見されずに過ぎると胆道が傷害され、中年になる頃には胆嚢や胆管にがんが高率に発生します。従って、小児期でも診断がつき次第、胆管と膵管が混ざらないようにする分流手術を行う必要があります。
腹部超音波検査で胆管の拡張が見つかったときは、まず放射能を浴びないMRCPを勧めています。当科ではこの方法で肝臓内外の胆管や膵管、膵・胆管合流異常を高率に見つけることができることを確認しています。黄疸のないときにはCTも行う価値があります。血液や尿検査ではアミラーゼが有用です。胆管があまり拡張していない症例もあり、確定診断にはERCPが必要なこともあります。 術後はMRCPやCTを活用し吻合部や肝内胆管の状態などを定期的に調べます。全国で多数行われた肝管十二指腸吻合術は術後に胃内胆汁逆流が高頻度に起きていることを確認していますので、今後も特に厳密なフォローと適切な治療が必要です。
診断が確定すれば根治的手術が必要です。胆管と胆嚢を摘出し、肝管空腸吻合術を行います。先に述べた分流手術とはこのことで、この手術によって胆汁と膵液の混合は起きなくなり、その結果腹痛は起きなくなり将来の発がんも防ぐことが出来ます。術後は定期的に受診をしていただき、年に1回はMRI,CT,胆道シンチグラムなどで胆道の状態を調べる必要があります。腹腔鏡を応用して傷をできるだけ小さくする工夫もしています。