病名 | HTLV-1関連脊髄症(HAM)(えいちてぃーえるぶいわんかんれんせきずいしょう) |
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部位 | 脊髄 |
主な症状 | 足がつっぱる、歩きにくい、足(腰から下)がしびれる、トイレが近い |
初期には足がつっぱる、階段を下りにくい、小さな段差で転びやすくなるなどの歩行障害が見られ、進行すると歩行不能となる場合もあります。感覚障害(じりじり感、灼熱感など)が腰から下肢全体にかけて見られる場合も多いです。また、初期には頻尿症状あり、やがて排尿困難、残尿感などの症状へと進行します。これらの症状は徐々に悪化し、日常生活動作が不自由になりますが、生命をおびやかす病気ではありません。
HTLV-1というウイルスの感染が原因となって起こります。元々HTLV-1は白血病の原因ウイルスとして発見されたのですが、感染者のごく一部にこのウイルスが原因で脊髄に炎症が起こり、上記の症状が認められるようになります。ウイルスは乳児期に母乳を介してお母さんから子供へ感染する場合が多いのですが、まれに性行為や輸血などによっても起こることが知られています。
HAMと診断するためには、ウイルスに感染していることを血液検査や髄液検査で確かめることが必須です。また、病歴と専門医による神経学的診察所見が重要です。脳や脊髄を侵しHAMに似た症状を示す疾患もあるため、これらの疾患を除外するために、必要に応じて脳や脊髄のCTやMRI検査などを行います。
炎症が長引き脊髄が完全にやられてしまうと治療は極めて困難となります。そのため発症早期にインターフェロンやステロイドなどで、脊髄の炎症やウイルスの増殖を抑える必要があります。足のつっぱり感や頻尿に対しての内服薬を併用することもあります。毎日の体操や散歩などで手足の筋肉の衰えを防止していくことも大切です。