病名 | 慢性疼痛症候群(まんせいとうつうしょうこうぐん) |
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部位 | 全身 |
主な症状 | 痛み |
はっきりとした原因が見当たらないか、原因の怪我や病気が治っているのに、3ヵ月程度以上の間痛みが続くものです。痛みの場所は筋肉や関節の場合もあれば、胸痛や腹痛、口の中や顔などの場合もあります。頭痛も含みますがこれは別項目に挙げました。一つの病気を表す病名ではなくて、症状からみた病気のグループと考えてください。線維筋痛症、筋筋膜性疼痛症候群、舌痛症、術後疼痛などもここに含みます。
きっかけとなる原因はさまざまで、筋肉の緊張やそれによる神経や血管の圧迫、手術や事故による外傷、きっかけ不明のものなどいろいろありますが、痛みの期間が長くなるにしたがって、脊髄や脳といった痛みの場所に関係のないところの働きに変化が起こってきます。痛みに意識や行動を左右されることや、痛みのある状態を受け入れられないという思い、自分の痛みを人に理解してもらえないという辛さなどが痛みの持続に関係します。
痛みの種類や場所に応じて、痛みの原因を調べる検査は必要です。筋肉や関節なら整形外科、腹痛なら消化器内科など、専門と思われる科で検査をしても原因がはっきりしない場合に心療内科を受診します。痛みを持続させている悪循環を調べるために日常生活の行動や気分と痛みを記録してもらったり、痛みを変化させることを試みてもらったりします。痛みに関与する心理傾向や行動パターンを調べるために心理検査を行ないます。
心療内科で診ている痛みは、消炎鎮痛剤や麻薬系鎮痛剤で解決しないものがほとんどです。痛みの過敏性を和らげる抗うつ剤や抗けいれん剤、緊張を和らげる薬などを使用することがありますが、薬物療法は補助的に用いて、ストレスを和らげるためにストレス対処やリラクセーションの訓練をしたり、筋肉の緊張を和らげる練習をしたりといったことが治療の中心となります。また痛みがあっても活動量を増やしたり注意を痛みからそらしたりすることが改善につながります。