病名 | 肝細胞がん(かんさいぼうがん) |
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部位 | 腹部(肝) |
主な症状 | 全身倦怠感(だるい)、浮腫(むくみ)、黄疸 |
検査などで発見される直径5cm以内の肝がんであれば、通常は無症状です。直径5cm以上になると、腹部が張った感じや腹痛などの症状を起こすこともあります。肝がんが大きくなるに伴って、肝機能が低下することが多く、もともとある“肝硬変が悪化した症状”として、黄疸(おうだん)や腹水の増加などの症状が出ることもあります。小型であっても、肝がんが破裂を起こしてお腹の中に大出血を起こすこともまれにあります。
日本では、肝がん患者さんの多くがB型またはC型肝炎ウイルスに感染していて、一部の患者さんは大酒家です。このような“肝硬変を起こしうる原因”は、同時に肝がんを起こしうる原因にもなっています。日本では、もともと肝障害がまったくない人に肝がんができることはまれです。ウイルス性慢性肝炎や肝硬変の患者さんでは、これらの病気が進行している人、高齢の人、男性などで肝がんが発生する可能性が高い傾向にあります。
腫瘍マーカーの測定(血液検査)と画像診断によって行われます。腫瘍マーカーであるAFP(アルファ胎児性蛋白(たいじせいたんぱく))は、慢性肝炎や肝硬変だけでも高い数字を示すこともありますが、50〜100ng/ml以上の高値になると肝がんを疑う根拠になります。第2の腫瘍マーカーであるPIVKA—Ⅱ(ピブカツー)は3cm以内の小型肝がんでは陽性になることが少ないのですが、陽性に出れば肝がん診断の特異性が高いです。直径2〜3cmの小型肝がんを発見するためには、腹部超音波検査、CT・MRIなどの定期的な画像診断によるスクリーニング検査を続けることが必須です。肝がんは多くの場合、慢性の肝臓病がある人に現れるため、慢性肝炎や肝硬変の患者さんでは、年に数回の検査が行われます。
1.外科的肝切除、 2.経皮的エタノール局注療法(PEIまたはPEITと略)、 3.経皮的マイクロ波凝固療法、 4.ラジオ波凝固療法、 5.肝動脈塞栓(そくせん)療法などがあります。 肝がんでは、 1.多発性(1個か複数か)、 2.腫瘍の大きさ、 3.肝機能の重症度の3点を考慮してそれに適した治療法が選択されることが多く、さらに 4.がんの存在部位(肝臓の表面か深部か)を考慮することもあります。現段階では切除可能な場合は外科的肝切除が、長期の生存につながるといえます。