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膵がん

症状の解説

比較的高齢男性に多く、近年増加傾向にあります。初発症状として、腹痛、黄疸、腰背部痛や体重減少が多いものの特殊な症状はなく、無症状な場合も10%程度にみられます。また急激な糖尿病の発症や悪化が見られる場合には精密検査をお勧めいたします。膵がんは診断時に、およそ70-80%の患者さんが、遠隔臓器(肝や腹膜など)に転移を有していたり、局所のがんが主要血管に進展して切除不能である場合が多いがんのため、消化器がんの中で難治がんのひとつとされています。

主な原因

原因解明はできていませんが、膵がんの危険因子として、家族歴に膵がんあり、家族性大腸ポリポージス、Peuts-Jeghers症候群、家族性乳がんなどがあげられています。また、糖尿病、慢性膵炎、遺伝性膵炎の患者さんでは膵がんの発生率が高いといわれています。嗜好品としては、喫煙は膵がん発症の危険率を明らかに増加させます。特に複数の危険因子を有する場合には定期検査が必要とされています。

必要な検査

初期段階として、超音波検査での主膵管拡張(2mm以上)や小嚢胞が膵がん所見として重要です。第二段階は造影CTを行い、膵内に造影効果の乏しい腫瘤を、肝臓転移がある場合には肝腫瘤を認めます。さらに、組織ならびに細胞診断を行うために、内視鏡的逆行性膵管造影検査を行い、膵管の途絶と末梢側の拡張所見が認められ、膵液や胆汁細胞診、生検を行って診断となります。他にMRIや超音波内視鏡などが用いられます。

治療法

詳細な画像診断の下、切除不能な場合には化学療法(免疫療法)や化学放射線療法を、切除可能な場合には切除を行うことが標準的な治療とされています。当院では術前化学放射線療法を行った後に切除を行い、リンパ節転移率や根治切除率の改善を通じて良好な成績を得ています。また、患者さんの安全性を最大限に考慮して、積極的に新しい治療を臨床試験という形で導入しています。関西医大消化器肝臓内科では、この病気に関する厚生労働省の難病研究班の一員として、病気の解明や新しい治療の開発をしています。

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